羆
2021.07.12
町内から直線距離で20キロ以上離れるニセイカウシュッペ山。今日も低く黒く厚い雲に包まれている。予報は昨日とさほど変わらない。昼から雨となるはずだったが、朝から雨が降り出した。
午前中走りに行く予定だったが、雨が上がった11時過ぎに出発した。ニセイカウシュッペ山に向けてのトレーニングも3日目。今日は少し距離を短く、1時間ほどのランニングを考えていた。
しかし、走り出して、汗をかき出すと体が自然と16キロほどのコースへと向いていた。
走り出してから1時間ほどした人気のない道路で、前方200メートルほどの路肩の藪から黒い陰が出てきたことに気づいた。最初は犬か、狸のように見えたが、すぐに羆であることが分かった。
羆はこちらには気づいていない様子。とりあえず相手の動きに合わせてゆっくり前進した。
引き返すか悩んだが、ニセイカウシュッペ山へと向かう途中の道のりで遭遇する可能性があるため、引き返すことを止めた。じっと観察し、相手の動向を見守った。100メートル位まで近づいたところで、初めて「ホォーワッ!」と声を出した。
2~3回繰り返すと、羆がこちらに気づいた。こちらをじっと見た後に、再び藪の中へと消えていった。
しかし、藪をガサガサとかき分けて山へと登って行く音が聞こえない。
羆が嫌がると聞く、プラスチックのガサガサ音に似たペットボトルを潰す音を出しながら、ゆっくりと羆がいた地点を通過した。この時が一番緊張のピーク。大きさはツキノワグマほど。たぶんまだ若い羆のように見えた。
人気は無いが、比較的交通量はある。
ニセイカウシュッペ山では、会う可能性は間違いなくもっと高いと、今日の一件で感じた。
その後は国道に出て、宿へと疾走した。
夕方、昨日走っていた道でも羆が出没したと聞いた。