日記

憧れの高根ヶ原
2021.07.03

縦走8日目。本来の計画では今日が最終日で下山の予定だったが、途中雷雨による緊張ビバークと停滞があったため、スケジュールが延びていた。しかし、全く問題はない。縦走中2日間は停滞する可能性があると予想し、食糧は2日分多く携帯していたからだ。

夜明け前に目が覚めて外にでると、素晴らしい空が広がっていた。
鏡のような大沼に自分のテントとトムラウシ山が写り込み、夜明け前の深い青の空に赤い色が東側から差し込むように染めていた。イイ一日となりそうだ。

身支度を整え、2泊お世話になった沼ノ原を5時半に出発。先ほどのいい予感に反し、五色ヶ原手前から空は雲に覆われてしまい、翌朝まで結局太陽が顔を出すことはなかった。
五色ヶ原に8時過ぎに到着。電波が入ったため、すかさず明日の天気予報をチェックした。すると、眉をひそめる予報に。昨日、石狩岳登山中にチェックしたときよりも、明日の晴れの時間が短くなっていた。晴れるのは6時と7時の2時間ほど。
明後日以降の予報もチェックしたが、明日の午後以降は数日雨の毎日となるようだ。
したがって、縦走終盤計画を変更。本来なら明日は白雲岳避難小屋を出て、「色巡り」と題し、緑岳、赤岳、白雲岳と回り、裏旭キャンプ指定地にてテント泊し、明後日大雪山(旭岳)に登頂する計画だった。しかし、それでは、気持ちよくこの縦走を終えることができない。
そこで、今回は色巡りをあきらめ、明日は夜明け前にキャンプ指定地を出発し、ピンポイントで予報の晴れにあわせて大雪山(旭岳)に登頂する事にした。

そう決めたあとは、8日目の道のりを楽しむことに集中、雲は低いが、かすかに大雪山の山並みは見えていた。
五色岳から忠別岳(ちゅうべつだけ)を越え、コマクサの大群落や、ここまで見かけなかった高山植物を見つけては足を止めて観察し、写真に収めた。そして、学生時代に旭岳山頂から遠く高根ヶ原を眺め、「いつかあそこを駆け抜けてみたい」と思った高根ヶ原を気分よく歩く事ができた。

午後1時過ぎに白雲岳避難小屋に到着。
昨年、改築工事が行われたばかりで、新築となった小豆色の小屋が白雲岳の直下に建っている。この小屋は夏場のみ管理人さんが常駐しているため、宿泊利用が可能。しかし、コロナ感染防止対策のため、利用者の人数が半分以下に制限されている。
事前に小屋の宿泊利用の連絡はしていたが、避難小屋のため、事前連絡のない登山者の利用も多く、到着した時にはすでに定員に達していた。事前連絡は予約ではないため、こういう状況は覚悟しなくてはならない。
利用者がどこからきてどんな生活をしてきたのかが不明なため、感染リスクが低いテント泊へと切り替えた。

キャンプ指定地は半分が雪渓からの融水によりぬかるみ、比較的乾いた場所に偏って、利用者はテントを張っていた。これはあと1時間到着が遅かったら、場所が無かったかもしれない。
結局登山道に近い端にスペースを見つけ、そこに張ることとした。
一段落して、改めて明日の予報をチェックした。変化は無かったが出発時間を4時から3時半に早めることにした。
テントの中で、他の登山者の声が聞こえ、賑わうキャンプ指定地に少し安心感を得られた。
明日はいよいよ縦走最終日。気持ちよく終われたらいいなと願い眠りについた。

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