石狩岳へ遠征
2021.07.02
縦走7日目。出発は5時前、早い。理由は往復15時間のコースタイムだ。
1日テントを留守にするため、臭いが少しあるゴミ袋をテントから遠ざけて、木の枝にくくりつけた。食糧は二重三重に袋にくるみ、テントの中に保管した。テントの中には他にも必要の無い装備も残していたため、背負う荷物の重さは15キロ程とかなり軽くなった。
誰もいないテントに「留守番よろしくね」と言い残し、まずは木道を行く。
石狩岳にはまだ少し雲はあるが、7時頃から晴れてくる予報だ。信じ進む。
沼ノ原から一度200メートル程、標高を下げて根曲がり廊下へと入った。6年前も同じルートだったが、3メートル近くにもなるチシマザサが生い茂り、掻き分け、掻き分けなんとか進んだ場所だった。今回もそうなることを覚悟していたが、どうだろう…本当に廊下のように幅2メートルもの刈払いされてキレイな登山道が続いていた。どうやら、昨年刈払いされたようだ。
このおかげで、石狩岳までの序盤、1300メートル弱の最低鞍部まで、コースタイム3時間ほどが1時間で到着する事ができた。
これにより、ぐっと時間のゆとりができた。荷物が軽いとはいえ、縦走も7日目。疲労もたまっているため、この展開はありがたかった。
そのままの勢いで標高差600メートルのニペの耳までもコースタイムの半分以下で登り切った。途中には大雪山系主稜線にはなかった花もあった。
石狩岳を含む東大雪山や東の空は晴れ、相変わらずかっこいいニペソツ山や、遠く阿寒の山々も見えていた。
そこからは細かいアップダウンが続く岩稜。足元に注意しながら、山頂を目指した。
6年前は疲れ果て、何度も登り返すピークを山頂だと思い込みだまされた。今回はその経験を生かして、もうそうはならないと思っていたが。最後の最後で最高地点と山頂を間違えてしまった。ニペの耳までの急登を頑張りすぎたため、岩稜は疲れがでてしまって少し余裕がなかったからかもしれない。
それでも、6年前を彷彿とさせるスピード感ある登りのおかげで、出発から3時間50分で登頂する事ができた。それに予報の晴れ間にもタイミングを合わせることができて、いい眺めを味わえた。
その中には遠く沼ノ原も見えていたが、さすがにテントまでは見えなかった。
1時間半ほどゆっくり休憩し、下山は前半よりも集中した。何事もなく、明日主稜線へと戻るためだ。
根曲がり廊下まで一気に駆け下り、3時間で沼ノ原に帰ってきた。気がかりだったテントは無傷。しっかり留守番をしてくれていた。
沼ノ原にもう1泊し、明日は再び大雪山系主稜線へと戻る。
今回の縦走中の鬼門ともいえた石狩岳を無事に終えられ、ぐっと縦走達成へと近づいた手応えを感じ、静かに沼ノ原の夜が暮れていった。
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