291.5座雄阿寒岳
2021.06.06
7年前、阿寒岳は雌阿寒岳(めあかんだけ)のみ登る?それとも雄阿寒岳(おあかんだけ)も登る?どちらを登れば阿寒岳登頂となるのだろう?という悩みがあった。結局、結論は両方登って1座としようと考えた。
これまでにも、八ヶ岳のように、目指す山の名前の山頂というものはなく、最高峰に登り登頂としてきた。一般的にもそうすることが多い。赤城山にしても榛名山にしても同様だ。
しかし、阿寒岳は少し複雑で、深田久弥さんは「日本百名山」の中で阿寒岳(1503m)としている。これはまぎれもなく雌阿寒岳のことであるが、ご自身は雄阿寒岳のみに登られていて、雌阿寒岳が火山活動で入山禁止となっていたため、そちらには登っていないのだ。そのことを前回の挑戦中に知り、当初は雌阿寒岳のみを登る計画だったが、急遽雄阿寒岳も登ることにしたのだ。
そのため、かなりの弾丸登山となり、1日2座、それも縦走ではなくそれぞれ独立する山を1日で登ることになった。2014年、日本百名山の挑戦では度々そのようなことがあったため、この考えに至った時は、大変なことという意識はあまりなかったように思う。
冷静に地図を広げ、コースタイムを計算すれば、トレイルランナーのように走り続けなくては、1日ではなかなか難しいことはすぐにわかる。それに、駆け抜けるだけでは、山としっかりと向き合えうことになるか、というと首をかしげることとなる。そして、7年前よりも今の方が「二つで一座」という気持ちが強いことは間違えないだろう。
今回は2日間に分けて、それぞれの頂を目指すことにした。
阿寒湖畔の宿から、早朝に出発。阿寒神社にて7年ぶりに登らせてもらうことへの感謝を伝え、3キロ先の登山口へ向かった。
週末ということもあり、登山口にはすでにたくさんの車が停まっていた。小さな富士山のような形の雄阿寒岳。太郎湖と次郎湖を過ぎると、早速急斜面となる。道中展望はほぼなく、樹齢数百年はあろうかというエゾマツの巨木が山の主のような感じで山の中腹まで続いている。
標高900mからがこの山最大の急斜面で、1200mの五合目まで直線的に登っていく。実はこの山「合目」は変わっていて、「四合目」で半分以上、「五合目」で8割クリアしているというのだ。前回はそれに戸惑いながら一喜一憂した。でも今回はしっかり覚えていたため、平常心でその時を迎えた。むしろ、「相変わらずだな~」と笑みがこぼれた。
六合目以降は駆け足が増えてた。九合目は山頂から目と鼻の先ほどの距離だ。
10時30分、少しだけにぎわう山頂に到着。距離を取りつつ、山頂からの景色を7年ぶりに堪能した。前回は、本命、雌阿寒岳のわき役のような感じで登っただけに、さらりと山頂を去っていた。
今回は前回の分もという山が当然多いのだが、この山もその一つ。
天候にも恵まれ、山頂からは大きな阿寒カルデラのほぼ中央部にこの山があることを始めて認識することができた。そして、同じ火山帯ではあるが、雌阿寒岳とはだいぶ距離があり、それぞれしっかりと独立した山であることを再認識した。
明日は別世界の雌阿寒岳へ、291.5座目の雄阿寒岳はどんな風に見えるだろう。
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