291座目斜里岳
2021.06.02
清里町(きよさとちょう)中心部の宿泊施設から、斜里岳の登山口までは片道13キロ。
最新の予報では、午後から雲が多くなり、雨の予報が出ていた。そのため、早朝5時過ぎに出発。出発早々から、朝日を燦々と浴びる斜里岳(しゃりだけ)に向けて、走り出した。
天気は良好。予想よりも薄っすらと高曇りしているが、午前中は持ちそうだ。気を緩めずに走り続けた。林道入り口まで走り、登山口へと裾野を登り始めてからは、スタスタと一心不乱に歩いた。
7時過ぎに標高680mの登山口到着。駐車場には車が2台だけ、登山口の山小屋もまだ開いていない。林道が開通したとはいえ、まだまだ本格的な夏山シーズン到来というには程遠い。
登山口の神社で手を合わせ、7年ぶりに登らせてもらえることへの感謝を伝え、出発した。
7年ぶりの斜里岳、同じルートとはいえ、記憶はすでに曖昧だ。いくつも滝があり、何度も沢を渡渉しながら、よじ登っていった記憶はあったが、景観はうろ覚えだ。
登山口から一度林道に出て、500mほど進むと終点となる。そこから本格的な登山開始。谷間を流れる沢音が、なんとなく前回よりも大きい気がする。
清里町側の登山道は、中腹から沢沿いを登る旧道と尾根を登る新道に分かれる。前回は、旧道を行った。地図には「水蓮ノ滝」「羽衣ノ滝」「七重ノ滝」など、名がある滝がいくつも連続している。登山道はその脇を通過しており、一般的な登山というよりは、旧道コースは沢登りだ。当然、水量が多くなれば渡渉を繰り返すこのコースは危険が増してしまうため、迂回路として新道が設けられたような感じだろう。また、新道ができたことにより、旧道を登り、新道を下山として利用することがここでの推奨ルートとなっている。理由は滑りやすい旧道を下山に利用すれば滑落の危険が高いためである。
流れ落ちる水しぶきと音から、徐々に記憶も蘇り、やはり前回よりも沢の水量が多いようだ。渡渉を繰り返しながら標高を上げ、1000m付近からは沢底を雪渓が覆いつくし、大きなスノーブリッジとなっていた。雪渓の下を流れる水の音の大きさを頼りに警戒しながら慎重に歩を進める。雪渓の下の地形が深いのか浅いのか、どうなっているのかわからないだけに、万が一踏み抜いてしまい、落差があれば大けがをする可能性は否定できない。
最後の長い滝を登り切ると、赤褐色の沢は一気に細くなり、馬の背前の胸突き八丁へと差し掛かる。雪渓の急斜面を登り切ると、主稜線へと合流。見上げれば山頂はもう目の前だ。
そこから、20分ほどで登頂。誰もいない7年ぶりの山頂からの景色を静かに味わった。
眼下には斜里平野、そして、先日登ってきた羅臼岳(らうすだけ)を含む知床連山までを一望した。弓なりに続くオホーツク海の海岸線も見渡せる。今日も穏やかそうだ。
1時間半山頂でのんびりと過ごし、雲が多くなり始める12時前に下山を開始した。もちろん新道で。予報よりも少し早く黒い雲が集まり始めたため、下山は小走りに。14時前には登山口へと戻った。
そして、再び林道を走り、斜里岳を眺める清里町中心部へと帰った。
タフな一日ではあったが、夕暮れ時、再び晴れた斜里岳がとても美しかった。
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