名残惜しいのか!?
2021.05.10
忠類(ちゅうるい)を出発する朝は少し肌寒い。
静かな街並みを抜けて、国道を外れ豊頃町(とよころちょう)へ向けて山間の道を進む。
鳥の鳴き声に癒され2時間程歩くと、今年の農業が本格的に始まった広大な田畑に出た。植え付けが始まる前のならされた畑も1ヶ月後には青々としていることだろう。
さらにその奥には、再び白くなった日高山脈の峰々が。
見えている範囲が気になったり、かすかに見える山容から、あれは…カムイエクウチカウシ山だ!等とついつい足を止めて見入ってしまう。
もう、日高山脈縦走から2週間近くが経過するというのに。その存在は今も大きく、自覚以上に心へ余韻を残しているようだ。なかなか日高山脈から知床半島羅臼岳へ、気持ちを切り替え切れないでいた。
なぜなら、日高山脈はまだ見え、羅臼岳ははるか彼方、姿も全く見えないからだ。
縁を切りたいわけでも拒絶しているわけではないのだが、日高山脈でのあの緊張感が続いているような感覚に陥っていたと思う。
明日、明後日と、もう数日間は見えるであろう日高山脈から逃れたいような思いで、豊頃町へ峠道を緩やかに下りながら、夕方初訪問となる町の宿に落ち着いた。