日記

日高南部へ難所の連続
2021.04.27

昨晩はイグルーの完成度が低くく、隙間から内部に吹き込む風雪で睡眠不足となってしまった。そのため、朝から疲労度がかなり高い状態だ。
今日は3座目(288座目)のペテガリ岳に登頂予定だが、出発前から身体が重く不安が高まった。
出発は6時前、予定よりも遅くはなったが、仕方がなかった。

早速ヤオロマップ岳から1600m峰までの区間が東西に主稜線が屈曲していて、足元が悪く緊張の強いられる場面が続いた。進めば進むほど、身体がますます重くなり、ペースがここまでで一番遅くなってしまった。寝不足により疲労が回復していなかったことと、朝食をしっかり食べることができなかったことが影響しているようだ。

なんとか1600m峰までたどり着き、そこで1時間近く休憩を取ることにした。このままのペースではペテガリ岳までたどり着けないとわかったからだ。
身体を休めながら、温かいお茶を飲み、行動食をしっかり食べた。
風下側で太陽の光を浴びて身体を温めていると、少しずつ元気が戻って来るのを感じた。
その後、序盤こそはガクンとペースが落ちたが、中盤以降はいつも通り力強く縦走を続けることができた。

ペテガリ岳の前衛峰のようなルベツネ山に登頂すると、ペテガリ岳まではあと少し。200m程下り、再び200m程登り返す。
13時30分、2015年以来2度目となるペテガリ岳山頂にたどり着いた。
一時はどうなるかと不安が高まったが、早い休憩と体力回復の判断が功を奏し、予想以上に早く登頂することができた。
山頂からは昨日よりもさらに遠く小さくなったカムイエクウチカウシ山が見え、南を向けば、明日登頂予定のどっしりとした神威岳(かむいだけ)が見える。
これまでなかなか見えてこなかった縦走最終目的地の神威岳。そこまでの道のりはこれまで以上となりそうな雰囲気が伝わってくる。

再びペテガリ岳からここまでの道のりを眺め、「遠かったなぁ~よくここまでこれたなぁ」と少し自分事ではない感覚があった。
厳しく険しい道のり過ぎて、登頂直後は自分でも実感が湧かないようだ。
毎日毎日、一歩進む毎に「たどり着けるのか」と疑心暗鬼になることもあった。それでも「焦らずにこれまで通りコツコツと着実に」と不安が高まる度に言い聞かせた。
そして、今はペテガリ岳までつなぎ登ってくることができた。

あと1日で神威岳に。そして、最難関となった日高山脈縦走を終えることができる。
その日がようやく現実のこととなる喜びを抑え、ペテガリ岳山頂直下の最終ビバーク地へと下りた。
最後のイグルー生活、時間はかかったが、風雪が吹き込まないようにしっかりと作り、日没後に夕食を済ませた。今夜は熟睡できそうだ。

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