日記

帰郷
2020.11.20

昨晩は見渡せなかったペンションからの景色をパシャリ。目とスマフォに記録し、丘を下った。ここから先は、ますます身近な街並みとなる。
深山峠(みやまとうげ)から国道を小走りしながら下ると、眼下には南北に広がる富良野盆地。雲に隠れる芦別岳(あしべつだけ)や十勝岳連峰の裾野も見える。

富良野市内中心部までは上富良野町、中富良野町を抜けて行くが、実家のある富良野市麓郷(ろくごう)には、上富良野町から、前富良野岳の裾野へと上がり、近道で向かう。
自衛隊駐屯地のある上富良野町内を抜けると、朝は雲に隠れていた十勝岳連峰が、十勝岳からオプタテシケ山までずらりと見えた。さすが2000m級の山々、大きく高く見えた。
昨日の温かい雨により、連峰の雪は大分溶けてしまったように見える。予想よりも山肌が露わとなっていた。これなら登れるかもしれない…という気持ちも少し芽生えたが、今月はもう、晴天になるのは一日だけの予報。事実上、今年はやはり暑寒別岳が登り納めとなったことを決定づけた形だ。

3キロの長い上り坂をえっこらえっこらと歩き、登り切ると今度は約5キロの直線、この時期の故郷の景色がより鮮明になっていく。隣の集落「布礼別(ふれべつ)」に入ると、6年前の百名山の時に脚を痛めて、実家で静養したあとに、痛みが引かない状況で十勝岳へと向かい、ここで痛みが強くなり、実家へと引き返したことがよみがえった。今と比べるとあの頃の自分は鬼気迫るものがあった。

数えきれないほどトレーニングで走った道のり、川を渡り、麓郷へと入った。
実家に戻ってくるのは3年ぶり、2017年12月以来。過疎化に歯止めがかからず、今も人口減少が続いていると聞いていた。
昔は田畑の間にぽつぽつとあった農家や酪農家の家々も、ぽつん…ぽつん…とある感じだ。寂しくもあるが、それでも故郷はいい!なんといっても帰ってこられる場所があることはとてもありがたい。

ずいぶん前に廃校となった母校の中学校前を過ぎると、実家はもう目の前だ。
3年ぶりの実家はあらゆるところに変化があった。家族のLINEにより、旅先でもリフォームの状況は知っていたが、実際に目にするのは今回が初めて。外壁や屋根の色が様変わりしていた。
家族の帰りをいち早く気付いたのは、愛犬のハル(秋田犬)だ。激しく「ワンワン」と吠えて飛び跳ねている。その声に気付いたようで、玄関を開けると母が出迎えてくれた。
「おかえり~」いつもと変わらぬ言葉がうれしい。屋久島を出発してから、約2年11ヶ月。ようやく実家へとたどり着いた瞬間だった。
明日から実家での生活が本格的に始まる。まず取り掛からなくてはならないのは、自分の部屋の片づけと断捨離だ。

ちなみに、実家での生活はしばらく続くが、旅が終わったわけでも中断したわけでもない。一時停滞だ。理由は北海道の厳しい冬が本格的に始まったからだ。12月1月の山は雪が毎日のように降り積もり、雪崩も頻発する。雪が落ち着くまでには、3か月ほどかかることが予想される。その間は実家にとどまり、トレーニングや情報収集に努める予定だ。
再出発の時期は2月中か3月からか…今はまだはっきりしない。
時間は有限だが、年内は久しぶりの冬の北海道と実家での生活を楽しみたい。
最後に…「もちろん移動はすべて徒歩です♪」

 この日記に書かれている場所はこの辺りです