単独事故
2020.10.31
朝8時半、厚田を出発。
今日は10月最終日。昨日の不安定な天気は一変し、朝から爽やかな陽気と海からは心地よい風が吹いていた。週末ということで、オロロンラインをドライブする車も多い。今日と明日はトンネル祭り。
増毛町(ましけちょう)までは2日間でかなりのトンネル本数、距離を歩く。実際にどれくらいになるかは分からないが、間違えなく1日に歩くトンネルとしては人生最長になるだろう。
一日目は一番長いトンネルで約3キロだ。トンネルの形状や年代によっては、歩行者にとってかなり危険な場合があるため、なるべくトンネル内にいる時間は短くした方がいい。ということで今日はトンネルを全て走ることにした。
午前中は1キロ~2キロの長めのトンネル2本と2-300メートルの短めのトンネルが連続した。この日最長のトンネルに向けて、1つ手前の短いトンネルに入った直後に事故が起きた。トンネル入り口にある情報板を撮影しようとスマホを構えると「ガァン!」と強烈な音がトンネル内に響いた。後続車が寸前でかわして行ったのを見て、一瞬でヒヤッとした。
振り向くとセダン型の乗用車が1台、トンネル入り口の縁石に真正面からぶつかり、そのまま縁石に左側を乗り上げたまま、低速でトンネル内を通過していった。目の前を通過する際、運転手と目があった。年配の男性で、表情からは何が起きたのか理解できていないような感じだ。トンネルを出たあと、その車は止まらずにそのまま走っていく。心配になり、追いかけようかと思ったが、衝突時に、その車の破損したバンパーなどがトンネル入り口に散乱していたため、後続車のことを考えて、それを道路脇に素早くどかした。そして、車が先で止まっているかを確認しに走り戻った。音からして間違えなくパンクはしていたはずだ。
するとトンネルから200メートルほど先の路肩で、停車していた。近寄り車内に目を向けると、老夫婦が動揺した様子で座っていた。
「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」と訪ねると、すぐに助手席のおばあちゃんが出てきて、「2人とも大丈夫です。事故を起こしちゃって…」と。
「良かったです。目の前で見ていましたので、心配で来ました。JAFは呼びましたか?」と聞いた。「JAF呼びたいのですが、番号がわからなくて…」と言われたので、その場で番号を調べて、本人たちの変わりにJAFへレッカーの依頼をする事に、登録者本人の情報を運転手のご主人に伝えてもらうのだが、動揺しているようで、担当者とのやり取りがうまく行かず、依頼完了まで付きっきりで対応した。
結局、すぐにレッカーに向かうことができないとのことで、依頼完了したあとは、このあともお気をつけてと声をかけて、再び歩き出した。
事故のあったトンネルに戻りながら、その直前のことを思い出していた。
あのとき、トンネル直前まで右車線を歩いていた、いつもならそのまま右車線を歩いてトンネルを抜けるのだが、この時だけ情報板を撮影しようと左車線へ渡ったのだ。もし渡らずに、出口側の情報板を撮影しようと思っていたら…。間違えなく事故に巻き込まれていた。さらに対向車が来ていたら、大きな交通事故になっていてもおかしくない状況だった。
あのとき、なぜ左車線側の情報板を撮影しようと思ったのかは、太陽をうけて明るかったからだ。たったそれだけの理由で命拾いしたわけだ。
ここ数年、高齢者ドライバーによる事故でたくさんの命が奪われてしまっている。今回の方も来年に免許返納する予定だったそうだ。
自分自身にも常々、言い聞かせていることがある、それは「過信しない」ということだ