日記

ニセコアンヌプリ初雪
2020.10.17

数日続いた不安定な天気がようやく落ち着いたようで、早朝部屋の外を覗くと、谷間に雲海が広がっているのが見えた。
これから登るニセコアンヌプリはアイヌ語で切り立った崖がある山という意味。昨日、遠目に見たときはそのような感じには見えなかったが、登ればきっと分かるだろう。

見返坂登山口への林道は紅葉真っ盛り。標高500メートル付近まで紅葉が下りてきたようだ。標高800メートル付近まで一度登りきり、ニセコアンヌプリ山頂と五色温泉の分岐に出た。いつもならそのまま山頂へと向かうが、今回は五色温泉へと100メートル程、一旦下りることにした。理由は五色温泉に立ち寄り湯をするため。登山途中に温泉へ入るのは意外にも初めてだった。

熱めで青みがかった湯に浸かり、これから登るニセコアンヌプリ山頂を仰ぎ見た。長湯はせずにサッと入り、再び服を着て登山口へと向かった。
今月一番ともいえる秋晴れと週末が重なり、すでにたくさんの車が駐車場を埋め尽くしていた。
この時期らしい落ち葉と霜が溶けてぬかるむ登山道を力強く登った。山頂まではわずか2.5キロ。標高差は560メートル。タンタンと登れば1時間もかからない。標高1,000メートルを超えた登山道脇に溶け残った雪があった。今シーズン初雪だ。自然と笑みがこぼれ、雪を口にした。初雪の味は…少し苦かった。

それから、20分程で山頂が見えるところまで登った。山頂直前の谷間を見下ろすと、かなりの急斜面だ。もしかしたら、アイヌの人たちはこの谷見上げて、ニセコアンヌプリと呼んだのだろうか。
山頂はすでに登頂した人たちで賑わっていた。広い山頂に初到着すると、目の前には280座目となる後方羊蹄山(しりべしやま)が堂々たる姿で鎮座していた。予想以上に山頂部が白い。しかし、到着した直後は見えていた羊蹄山の山頂部も、それから1時間以上雲に包まれてしまった。
再び晴れて太陽を浴びる羊蹄山が見られることを信じて、山頂で2時間、のんびりと過ごした。
ニセコアンヌプリから岩内方面には、ニセコ連峰が続き、眼下には赤く染まる木々とまだ青々とした笹のコントラストが美しかった。

入れ替わり立ち替わり、登頂する登山者、下山していく登山者で絶えず賑わっていたが、午後1時を過ぎるとそれも落ち着いた。すると羊蹄山にかかっていた雲が晴れ、ようやく全容が見えた。のんびりと待ち続けた甲斐があった。
満足して午後1時半頃にニセコ比羅夫(ひらふ)側へと下山開始。ヒラフスキー場側への登山道は五色温泉側とは違い、なかなかの険しさだった。それでも1時間で駆け下り、信じられないほどに様変わりした比羅夫のスキーリゾート地を抜けて、尻別川(しりべつがわ)を渡った。

ニセコアンヌプリからは、目線の高さだった羊蹄山がもう見上げるほど空高くそびえていた。いつかニセコ連峰を縦走してみたいと思わせてくれて、ニセコアンヌプリ=スキー場のイメージが変わる登山となった。
明日は今日のように楽な登山とは行かないだろう。

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