張り切りすぎて
2020.08.20
5時前に起床。まだ外は薄暗い。シャワーを浴びて目を覚まし、朝食をいただく。バタバタと荷をまとめ、生粋の江戸っ子である女将さんに温かく見送られながら、岩手山の馬返し登山口へと向かった。
7時に登山口へと到着。気になる看板が目に入った。それは登山者への「八合目の避難小屋まで薪歩荷協力」だった。少し悩んだが、あまりの天気の良さと朝から元気いっぱいだったこともあり、バックパックに入れられるだけ入れた。計6本。総重量は18キロ程となった。
ただ登るだけではなく、薪を運ぶ使命感が芽生え、テンションはいつもよりも高めだ。
背負いはじめは気持ちが入っていたため、それほど重くは感じなかったが、それも長く続かず、一合目手前から七合目まで続く急登が始まり、汗が噴き出し、ペースはがた落ち。一歩進む毎に「重い、暑い」と無意識に口からこぼれた。
涼しさを求め、樹林帯の中を行く新道を登っていたが、四合目で風を求めて、見晴らしのよい旧道へと合流してルートを変更した。四合目からは予想通り涼しい風と展望で、体も心もリフレッシュし、体力が回復。七合目までは力強く登りきった。そして、笑顔で八合目の避難小屋に到着し、薪を運び上げる任を無事に終えた。とはいえ、6本しか運び上げられなかったのだが…。
小屋の管理人さんからの感謝の言葉と、冷たくこんこんと湧き出る御成清水で、ここまでの頑張りが報われた。
ひと休みした後は気持ちを切り替え、岩手山を楽しむことに集中した。6年前は二合目から雲に包まれ、その後、松川温泉へ下山まで、一度も晴れることなく、濃霧の中の登山だった。あのときに比べたら、最高の条件に今回は恵まれた。
これまで登った焼石岳や栗駒山、早池峰山もしっかりと見え、それ以上に、岩手山そのものを、山頂まで見上げながら歩を進めていられることが、とても嬉しかった。
九合目からお鉢へと、ザレた登山道を登っていく。前にも後ろにもたくさんの登山者の姿があった。前回は立ち寄らなかったお鉢の中にある岩手山神社奥宮へ真っ先に向かい、6年ぶりに登らせてもらったことの感謝を伝え、参拝した。その後、反時計回りに、山頂へと向かった。出発から3時間、6年ぶり2度目、265座目となる頂に最高の展望が迎えてくれる中、立つことが出来た。
眼下のお鉢も遠くの山々も目に入る景色全てが初めての経験。気持ちは素晴らしく心地よかった。
山頂でのひと時を過ごした後は、焼走りコースを駆け下りた。途中、コマクサがまだ咲き残っていたことも嬉しい誤算だった。2時間ほどで下山。国内で最も状態がいいといわれる灼熱の焼走り溶岩流を見学して、8キロ先の宿へと走った。
コンビニでガリガリ君を購入、今日の頑張った自分へのご褒美となった。
日が沈むまで岩手山は一度も隠れることはなかった。
少しはしゃぎすぎたためか、夕食後気づいたら寝てしまっていた。
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