初めて見るもう一つの顔
2020.07.30
昨晩は月夜で星も見えていた。さぁ須川高原(すかわこうげん)に到着してから6日目、今日こそは栗駒山(くりこまやま)に登らせてもらえるだろう。
昨日と同じように支度を整え、久しぶりにバックパックを背負って、8時に宿を出発した。
261座目となる栗駒山へ登るのは5年ぶりのこと。前回も梅雨時期だったが、比較的天気に恵まれての初登頂だった。
また、山頂まで最短の須川コースが、火山性ガス発生のために立ち入り禁止ということで、秣岳(まぐさだけ)登山口からの縦走ルートを選んだ。
縦走ルートよりも短時間で登れる産沼(うぶぬま)コースがあるが、栗駒山をもっと広く大きく味わってみたい気持ちが強く働いた。
また、前回は「栗駒山は古い火山なんだな~」としか記憶に残らなかったため、火山らしさだけではない姿や、花の百名山でもある美しさにも出会いたい気持ちもあった。
宿から3キロ先の秣岳登山口へと歩きながら空模様を見ると、高曇りの空であったが、天気は回復傾向のため、きっと徐々に空も晴れるだろうと願い、迷わず8時40分から登り始めた。
まずは東北らしいブナ林の中をジグザグと登った。20分程で展望が開ける急斜面のトラバースが始まった。遠く東の空は明るく、岩手県側は雲海だ。北に目を向けると焼石岳も見える。しかし、肝心の栗駒山山頂へと低い雲が上っていく。まぁ、のんびり登るから、午後には晴れるだろうと、秣岳へと集中した。
登山道の脇には、早速キンコウカやシロバナトウウチソウが咲き連ねていた。
40分程で、今日一番の登りを終えて、秣岳へと登頂。しかし、山頂に到着するといつの間にか雲に包まれてしまっていた。
ここから先の縦走ルートが今回の栗駒山で一番楽しみにしていた場所だけに、雲が晴れるのを1時間ほど待つことにした。
待つこと30分。少しずつ晴れ始めたので、秣岳からみえた湿原へと気分良く進んだ。
最初の湿原には、キンコウカの群落やタチギボウシ、ウメバチソウ、タテヤマリンドウなど、夏の花の種類も量も増えた。とても活火山とは思えない表情を見せてくれる。
高台の岩場からは、もっと大きなしろがね湿原と、宮城県方面の雲海や雲から顔を出した泉ヶ岳、船形山も遠望できた。
岩場でも景色を楽しみながら、腰を下ろして休憩をした。こんなにのんびり登山をするのは久しぶりだ。
雲海へと続いていくような湿原を駆け抜け、6月の花、シャクナゲも残る少し長い灌木帯を登った。登り切ると、雲に包まれた山頂へと続く緩やかな稜線が続いた。
眼下には、かつての火山活動でできた大きな火口と、縦走路が外輪山だったことを感じる名残が見える。5年前は気づけなかった栗駒山の火山活動の大きさを初めて実感していた。
山頂へ13時に到着。予報通りとはいかず、断続的に湧く雲で山頂は包まれてしまったが、今回は登頂が最大の目的ではないため、山頂からの景色が見えなくとも、満足も納得も充実もあった。
それでも、1時間半山頂で望みを捨てずに待った。しかし、いつの間にか黒く大きな雲が迫って来たため、雷雨になる可能性を感じ、須川高原温泉へ駆け下りた。
今日もいい時間だった。
残り40座だ。
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