日記

山から下りて
2020.04.22

18日間も長期に亘りお世話になった、鳥海山中腹の山荘をチェックアウトする朝がきた。外はあいにくの雨、この先の全国的な新型コロナウイルス感染拡大による、先の見えない状況を表しているようだ。

最後の晩餐ならぬ朝食をいただき、自分の部屋のようになっていた客室を、もう一度しっかりと忘れ物確認して、扉を閉めた。
スタッフの方々に見送られ、重い空の下、久しぶりの里へと向けて歩き出した。
行先は麓の町まで。新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言が全国へと拡大されたことにより、山形県内の宿泊施設は続々と臨時休業となった。県外への移動も制限するように、との呼びかけも出たことで、路頭に迷いそうになったところ、酒田市役所の方からの申し出で、空き家をお借りすることができた。その空き家にて、緊急事態宣言解除までの期間、自炊生活をすることにした。

不安やストレスもあるが、考えてもこの状況がいつ快方に向かい、宣言が解除されていつも通りの生活が再開されるかはわからない。感染防止に努めつつ、心理状態はなるべく柔軟にすることを心がけようと意識した。
それよりも、2月上旬に自宅を離れてから約2か月ぶりの自炊生活が少し楽しみでもあった。

新型コロナウイルスが自然発生によるものと考えれば、台風や地震などの自然現象の一つともいえる。これまでにも、様々なことを旅の最中に経験し、乗り越え、時には引き返しながらも、前へ前へと少しずつ進んできた。これもこの状況も旅の一つの大きな出来事であり、これまで同様に「今、自分にできることを一生懸命にする」という姿勢でこの時を乗り切っていくしかない。

午後、市役所の方と合流し、大家さんの案内で空き家を見せていただき、想像以上の広さで、快適な空間だった。また、大家さんもお人柄がよく、すごく親切にしてくださった。お互いに戸惑いもあるだろうが、住みよい場所を提供していただけたことに、感謝しきれないほどだった。

明日から、本格的に空き家自炊生活のスタートだ。
ちなみに、NHK撮影スタッフは、この日で一時解散となり、明日、新型コロナウイルス感染収束までの間は、各自宅にて待機となるようだ。

※酒田市内に滞在中の「この日記に書かれている場所はこの辺りです」は「酒田市役所」とさせていただきます。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです