4回目の下見登山
2020.04.16
鳥海山荘に宿泊してから13日目の朝。夜明け前の5時に起床すると、薄明の空に雲はなく、くっきりと鳥海山が浮かび上がっていた。間違いなくこれまでで一番いい登山日和となりそうだ。
しかし、天気予報では山頂の風は強いとあった。真南からの登山ルートのため、きっと、山頂までは風はほとんど感じないだろう。
荷をまとめながら、下見登山の準備をしていて、今日登るべきか、それとも予定通りに、明日にするかを悩んだ。
でも、急な予定変更は予期せぬアクシデントを招きかねないため、予定通りに下見登山をすることにした。
8時すぎに宿を出発。日差しは強く、これまでで一番暑くなりそうだ。
4日前の下見よりも雪が少なくなり、標高1000メートルの一本杉までは、重たい雪でかなり苦戦し、時間がかかってしまった。
予想以上の消耗だったが、そこから先は真っ青な空にくっきりと浮かぶ鳥海山に見とれながら、4度目の滝の小屋まで登ってきた。
途中、山頂付近を登る他の登山者の姿を見上げながら、やっぱり今日登りたいな~登れるかな~と気持ちが高まった。冷静に背負う装備を登りながら確認した。そして、ハッとした。なぜなら、アイゼンとピッケルを携帯していなかったのだ。冷静に一呼吸を入れてなければ、周りの雰囲気にのまれて勢いだけで登ってしまうところだった。
明日、天気予報は今日よりも好条件ではあったが、予報が的中するのは当日を迎えてみなければ分からない。鳥海山は日本海に一番近い2200メートルを超える山だからだ。
河原宿まで登り、雪の感触を確かめて、あまり疲労を残さないように早めに下山した。
明日は5回目の鳥海山へ、そして、これまでの下見登山の成果が発揮されるはずだ。
初めての春、雪をまとう鳥海山山頂からの景色を楽しみに床についた。