初めての泉ヶ岳は友人と
2020.03.30
昨日の泉ヶ岳(いずみがたけ)を隠していた雲はすっかりと消え、少し鼻にツンと来るような空気の中を、1泊2日の装備を背負い、夜明けから間もなくして出発した。
今日から2日間で、船形連峰を宮城県側から山形県側へと縦走する 。
過去2回の旅を含めても、宮城県側から登山を始めるのは初めての経験だ。さらに、257座目の泉ヶ岳は初めて登る。仙台市内からもよく見え、市内の学校校歌にも山名が出てくると聞く。1年中たくさんの仙台市民や県内外の方も登られる憩いの山となっているそうだ。今日も暖かく穏やかな1日となるためたくさんの登山者と会うことだろう。
泉ヶ岳スキー場の駐車場にて、カッパクラブに同期入社した友人と合流して、登山口へと向かった。友人との再会も登山も久しぶりのことだが、やはり一緒に切磋琢磨し合った仲だけあり、直ぐに打ち解けた。
泉ヶ岳へのルートは主に4つある。その中で、表コースを選んだ。泉ヶ岳は古くから信仰の対象となってきた。表コースはいわゆる泉ヶ岳への表参道となる。しかし、4つのルートの中で最も急で険しい。友人もこのコースは初めてだという。
登山口から歩き出し、あっという間に急な登りが始まった。
2人とも直ぐに息が荒くなったが、笑顔だ。思い出話をしながら、順調に標高を上げていく、標高800メートル程にある胎内くぐりを、友人の力も借りてなんとかくぐり抜けた。
出発から1時間半で燦々と日差しが降り注ぐ山頂に到着した。表コースは最後の最後まで憩いの時間はなかったが、山頂はとても穏やかな雰囲気があった。少し東に下った所からは、見てみたかった仙台の街が少しかすんで見えた。
たくさんの市民がここに立ち、きっと自分の住む街を見下ろし、感動したのだろう。隣に立つ友人も嬉しそうだ。
のんびりしたいところだが、縦走1日目は始まったばかり、記念写真を撮って、北泉ヶ岳へと向かった。北泉ヶ岳の先には今日目指す船形山も見えていた。近くにも、遠くにも見えた。
友人とは北泉ヶ岳で別れた。また、カッパクラブで会おう、また一緒に山や川で遊ぼうと約束して。
北泉ヶ岳から標高1,000メートルまで下ると、平坦で広大なブナ林がどこまで続いた。1時間ほど歩き、ようやく三峰へと再び登り始めた。
標高1,200メートルを超え、ブナ林から脱出。贅沢な話だが、最後はちょっと見飽きてしまっていた。三峰山(みつみねやま)に登頂する頃にはだいぶん疲労が貯まっていたが、真っ白くきれいな縦走路に気分転換されて、元気をもらった。
日中の気温の上昇に、足元の雪は重く、力のいる歩きとなったため、蛇ヶ岳(じゃがたけ)を超える頃には、かなり足取りは重くなっていた。出発から約9時間。最後の斜面を登り切ると船形山(ふながたやま)山頂が西日を受けて、目前となった。
山頂には雪はなく、朝より少しだけ多くなった雲の奥に、次の山、鳥海山(ちょうかいさん)がかすかに見えていた。
GPSの記録を見ると、出発からの距離は20キロを超えていた。雪山での縦走で20キロを超えたのはかなり久し振りな気がする。いやもしかしたら初めてかもしれない。
山頂の避難小屋にて、温かな夕食がいつもよりも身にしみた。夕暮れ時、外にでると沈みかける太陽が見えた。
太陽との間にある雲も赤く染まった。山で見る夕日に感動したのも久しぶりのことだ。
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