蔵王連峰初日
2020.03.26
蔵王連峰中腹、坊平(ぼうだいら)高原にて天候回復を待つ日が続いたが、6日目にようやく風のない穏やかな朝を迎えた。6日間お世話になったペンションのご夫妻と愛犬トッティに見送られ、大きなバックパックを背負い、スキーを装着して出発。営業前のスキー場内からは月山や朝日連峰、飯豊(いいで)連峰など、山形県を代表する山々が一望できた。
前日の踏み跡をなぞるように、御田神(おだのかみ)湿原へと出発から1時間半で到着。目の前には、やっと、蔵王山最高峰の熊野岳がくっきりと顔を見せてくれていた。
吹き溜まりに足をとられながらも、着実に登り、刈田岳に登頂。主稜線は風が強く吹き抜けるため、積雪量は少なく、雪というよりも、固く凍りついていた。
カリカリの雪面をスキーを効率よく進ませながら、お釜の縁を回り、最高峰熊野岳を目指す。一昨日の雪がスプーンで削ったような、きれいな風紋を描き、目を引いた。
出発から3時間、久しぶりのスキー登山で、少し緊張もあったが、6年ぶりとなる登頂の瞬間を迎えた。山頂の鳥居は樹氷のような姿になっていて、這いつくばってなんとかくぐり抜けて、熊野神社にて参拝させていただいた。
社の前で、一休みしたのちに、山頂標識にて記念撮影をし、蔵王北縦走路へとスキーを滑らせた。
気持ちよく滑れるはずだったが、予想よりも雪が少なく、さらに一昨日の降雪で、アイスバーンと吹き溜まりの連続で、気持ちよく滑らせてもらえる状態とはいかなかった。
一気に緊張感が高まり、カリカリのアイスバーンをしっかりとスピードコントロールしながら、ゆっくりゆっくりと滑った。標高が下がると、今度は雪の中から低木が顔を出して、何度も止まりながら、進路を確認する必要が出てきた。なんとか低木帯を抜けると、オオシラビソやダケカンバの森となり、カリカリのアイスバーンではなくなったが、新雪が溶けて重たい雪となり、何度もスキーの滑走性を奪った。いわゆるストップスノーの状態だ。
1日目の目的地八丁平が見えてくると、この日の最後の難所が現れて、細い尾根のアップダウンと、張り出した雪庇に気をつけながらの縦走となった。さすがにここでは、スキーである必要性を感じることができず、お荷物となる場面もあったが、選択したことには後悔はなかった。これは決して強がりではない。だが、スノーシューの方が楽だったなぁ~道具の選択を間違ったかな~と歩きながらこぼれていた。
予想以上に熊野岳から八丁平までに時間がかかってしまい、避難小屋への到着が1時間ほど遅れてしまったが、久しぶりのスキー縦走に満足感はあった。
翌日も雪の状態次第では、難しいスキー縦走となりそうだ。
いつもより、体力の消耗がかなり激しかったため、夕食は通常の1.5倍を補給して、早めの就寝となった。
今日の頑張りが夢にも出てきそうだ。
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