厳冬期初のテント泊
2020.02.28
中三依(なかみより)温泉の宿泊先にて、3日間の天候回復を待ち続けた。そして、昨夜の天候予報にようやく回復の兆しが見えた。
早朝、準備を終えて、1週間お世話になった宿のご主人に見送られての出発。
しかし、雲行きと風向き、気温から、1日目は回復するかは微妙かもしれないと思われた。ウォークマンのスイッチをいれて、テンポよい音楽を聞きながら、252座目の男鹿岳(おがたけ・おじかだけ)へと国道を歩く。
男鹿岳も荒海山(あらかいざん)と同様に、福島県からの入山ができないため、栃木県側から登ることになり、さらに、一般登山道が無いため、登りやすい季節は冬となる。
荒海山と違う点は、林道が長く、林道で大幅に標高を稼ぐことができることだ。
男鹿岳は1泊2日を要する。2日分の食料を背負い、重装備で男鹿岳へと続く林道の入り口となる横川の集落を通過した。男鹿岳は奥の方にあるため、集落からは見えないが、久しぶりの山中でのテント泊にワクワクしていた。背負う装備は重いが、なんら苦ではなかった。さらに、厳冬期では初体験。明日が厳冬期の山中泊が最終日となるため、旅では最初で最後の経験だ。
誰の歩いた痕跡もない林道を黙々と歩き、標高が1000メートルを超えた辺りから、スノーシューを履いた。所々崩落もあったが、荒海山よりも少し積雪が多いため、難なく切り抜けることができた。
林道は地図よりも少しだけ長く続き、結局標高1350メートル手前で終点となった。当初は林道の終点から尾根に取り付き、尾根を登って行く予定だったが、先日の荒海山の経験から、谷を直登していくルートに変更した。しかし、この判断がミスとなった。積雪量が少ないために水が流れ、沢の底が雪で完全に埋まらない。そのため、谷底を歩くことが出来ず、沢の急斜面をトラバースするように登ることとなり、なかなか前へ進むことができなかった。
結局、途中から尾根へと急斜面を無理やり登ることとなり、体力を想定以上に消耗してしまった。やっとの思いで目的の尾根へと登り詰めることができて、途中からは尾根を直登した。荒海山の時は地形図と実際の地形が合致していないことがあったが、登っている尾根は地図とおりだった。早い判断と行動のおかげで、あっという間に主稜線へと合流することができた。あのまま頑固に沢を登り続けていたら、まだ登り切れていないことは明らかだった。
天気は依然として変わらずだが、風は穏やかだったため、それほどプレッシャーもなく、最初のピーク、女鹿岳(めがたけ・めじかだけ)へと登った。
結局、最後まで雲は晴れず、女鹿岳からはあっという間に男鹿岳へと登ってしまった。無雪期だと全く展望がない山らしいが、この時期は山頂も雪が多く、テントも立てやすい広さがあった。山頂標識を三つも見つけて、ここが間違えなく男鹿岳山頂だと確認した。
急斜面の直登で疲労が高かったが、暗くなる前にテントを張る場所を確保するべく、スコップを取り出して、早速快適なスペース作りを開始した。ただ、雪を平らに踏み固めて、その上にテントを張るだけでも十分なのだが、ついつい雪国育ちの血が騒いでしまう。
スコップで東側を入り口にするように掘り進め、ある程度掘ったあとは、スコップでブロック状に雪を切り出していく、そのブロックを東面以外の三辺に積み上げて、「コ」字型にに壁を作った。そして、テントと同じ高さ位まで積んで、テントを張るスペースもきれいにならして完成だ。
1時間ほどかけて作ったため、汗で濡れていた着衣も体温で乾かすことができた。当たりは薄暗くなり始めていたため、急いでテントを設営して、固定した後に荷物をテント中に入れて、登頂から約2時間後にようやく腰を下ろすことができた。
テント中で温かいコーヒーを飲んでいるとあっという間に眠気が襲ってきた。そのままだと本当に寝てしまいそうだったので、直ぐに男鹿川の源流から汲んで、担ぎ上げてきた水を沸かして、夕飯を食べた。その後は特にやることもなく、歯を磨き、翌朝、テントの入り口に差し込む日の出を楽しみに寝袋にくるまって寝た。
充実した1日目となった。
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