日記

浅草岳を越えて
2019.12.16

長かった新潟県とも、ようやくさよならとなる朝がきた。新潟県最後の宿でもとても親切にしていただいた。薄明かりの空に月が見え、予報通りの快晴となった。冷え込んだおかげで昨日よりもしっかりと雪がしまっていてスノーシューを履けば沈まずにサクサク歩ける。昨日の踏み跡を辿り、スピードを上げて進む。渡渉を繰り返し、昨日よりも20分早く尾根の取り付いた。
太陽はまだ山を越えて来ないが、背後の守門岳(すもんだけ)には太陽が当たり、眩しく輝いていた。

標高が上がり、気温は下がっていくが、風は無く登るのにはちょうどいい感じだ。
林道の終点を経由して、小さな社に手を合わせ、神様に挨拶と感謝を伝えた。浅草の鐘を一突きし、さらに登り続ける。
出発から2時間半で、昨日の折り返し地点を通過。降り注ぐ太陽を全身に浴びて、昨日ホワイトアウトで全く見えなかった景色に感動した。最高だ~と雄叫びを上げてボッチへと登り、美しい曲線が続く尾根の先へとさらに進んだ。
そして、少しクラストした雪を踏みしめながら、浅草岳山頂へと初めて立った。出発から4時間、昨日の下見を十分に生かすことができた。

暖かかな日差しを浴びていることで、春を感じてしまっているが、冷たく強い風が冬であることを忘れさせない。長時間風に当たっていると、体温を奪われるので、風下側に穴を掘って、太陽を浴びながら、浅草岳でも新潟県と福島県の山々を2時間ほどマウンテンビューした。
日本海側から東へと目線を向けると、山々に降り積もった雪の量が全然違うことが良く分かった。遠く会津朝日岳も、見た感じは雪が少なそうだ。
雪の上にマットをひいて、ちょっと早めのランチタイムを終えて、12時半に下山を開始した。

豪雪の浅草岳の山頂北側には広大な雪原があり、夏場はここが雪田草原になるらしい。浅草岳の由来もどうやらここから来ているときく。
正面に飯豊連峰と御神楽岳(みかぐらだけ)を見ながら、只見町へとふかふかの雪の上を駆け下った。振り返ると白く美しい浅草岳山頂が見え、もう少し眺めていたい気持ちを抑え、写真に残した。
人がほとんど登らない、一年で一番静かな浅草岳に出会えた気がする。

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