田舎ならでは
2019.12.08
土曜日は一日、五泉市にてゆっくりと過ごし、今日は次の粟ヶ岳(あわがたけ)登山に向けて、登山口となる三条市下田地区を目指して、午前9時に出発。
曇天の空から、全貌は見えないが、少しだけ白くなった裾野がチラチラと見えていた。
午後2時過ぎまで、歩いている国道沿いにはお店が一件もなく、昼食にありつけなかった。夕食まで我慢すると決断したが、20キロを超える荷物を背負いながら、32キロを歩く1日だったため、さすがに空腹をごまかすことができなかった。
なんとか行動食で空腹をまぎらわせていると、国道から外れて近道となる市道へ入るところに「笹だんご」の看板があった。
日曜日だからもしかしたら、と淡い期待を持って急ぎ足で近づくと、住宅の脇にある小さな小屋の入り口に「営業中」の看板があった!やったぁ!と思わず声がでた。
中には人がいなかったが、母屋から明るいお母さんが出てきて、「まだ営業していますか」と尋ねると「笹だんごは売り切れちゃったけど三角ならあるよ!」
三角?どうやら、ちまきのことで、形が三角形だから三角と言っているそうだ。ちまきは一般的な中華料理のちまきではなく、地元のお米を笹の葉で包み、一晩水に浸して、3時間かけて蒸した、味付けは一切していないちまきだ。
これに、砂糖を加えたきな粉をつけて食べる。子供のときに良くご飯に砂糖きな粉をまぶして食べたことを思い出した。
ちまきだけでも、もちもちしていてほのかに甘く、ちょっと塩をまぶしても美味しそうだ。
食べ終わると、お母さんが袋を見せて「きんぴら食べてみる!?」と一言。「はい!」と返事すると、お母さんは母屋へと走った。
数分後、レンジで温め直したきんぴらの笹だんごが登場した。
笹だんごといえば、よもぎ餅の中にあんこだが、きんぴらは合うのかなーと少しだけ警戒しながら一口食べてみる。おっ!おやおや!意外と合う。むしろすごく合うしおいしい!!
最初に薄味のちまきだったからか、しっかりと味付けされたきんぴらが、包んでいる餅といいバランスだ。
でも、よもぎ餅よりも手にする笹だんごは色は薄く、味もよもぎ餅ほど主張してこない。お母さんにこの笹だんごに使っている餅はよもぎではないですよね!?と聞くと、「違うよ~下田は昔からごんぼっ葉(正式名 オヤマボクチ)という葉っぱを練り込んでいるんだよ~」と教えてくれた。通りで味が違ったのか、と納得できた。歩き旅ならではの出会いが久しぶりにあり、淡々とした一日にポッと花が咲いたようだった。
三角ちまきを手土産に今日の宿へと夕方の空を見上げながら急いだ。明日は朝から晴れるという。初めての粟ヶ岳は明日の朝どんな表情を見せてくれるだろう。