朝日連峰縦走最終日
2019.11.26
朝日連峰縦走5日目の朝は昨日より10度以上も冷え込んだ。昨日は開いた山小屋の窓もガチガチに凍りついている。
3泊のうち、丸2日山小屋の中で快適に過ごした大朝日岳山頂避難小屋とも今日でお別れとなる。
まだ、暗く外の空模様は分からないが、夜中まで吹き荒れた風は止んでいるようだ。
朝食を済ませて慌ただしく準備を進める。薄暗がりから、外の明かりが部屋の中まで届き、東の空から太陽が昇ってくるのが窓から見える。
お世話になった避難小屋の掃除を済ませて、冷え込んだ外へと出た。
食糧は停滞2日間でかなり減った。バックパックの重量もかなり減ったことになるが、背負ってみるとそれなりにずっしりとしている。冬山装備はやはり重い。
また、2日間で周りの景色は様変わりしていた。あんなにたくさん降り積もっていた雪はかなり溶けてなくなってしまった。
どうやら最終日はスノーシューの出番は無さそうだ。
6時50分に出発、登山道にわずかに残った雪は、氷のように固くなっていた。一歩一歩蹴りこみながら、10分ほどで山頂に到着した。5年ぶりの大朝日岳の山頂、そして、2度目にして初めて山頂からの360度の展望に感動し味わった。
冷たい風が吹き付けて、体は末端からどんどん冷え始めたが、心は嬉しさで温かかった。
登ってきた方向を振り返ると、こちらも始めてみる以東岳までの朝日連峰主稜線がくっきりと見える。北には雪が溶けたことが分かる鳥海山と月山が、東には全く雪が無くなったであろう蔵王山と3日ぶりの朝日が眩しい。南へと目を向ければ、これから縦走していく祝瓶山(いわいがめやま)までの山並みと遠く飯豊(いいで)連峰が雲の中から頭を出していた。
その姿に朝日連峰にいながら、ピリッと緊張感が高まった。
記念撮影などを終えて、祝瓶山への縦走路へ初めて足を踏み入れる。固くなった登山道の土からも朝の冷え込みを感じる。平岩山へと一気に標高を下げ、越える。そこから北大玉山(きたおおたまやま)、大玉山の神秘的な霧氷に感動をしていたが、こんな時に限って何故かアレルギー性鼻炎の症状が出てしまい、頭がボーとしてしまって、いい気分で歩くことができなかった。
大玉山から標高を1000メートル以下までさらに下げる頃には症状は治まった。
霧氷はまさに畑のようで、その奥には徐々に迫ってくる鋭峰、東北のマッターホルンとも言われる祝瓶山の顕著な山頂部がかっこいい。
最低地点の950メートル付近まで標高を下げたら、鋭く尖った山頂へ向けて、容赦の無い急斜面が続く。
アレルギー性鼻炎が治まったため、快調に力強く登った。標高を下げて無くなった霧氷は山頂が近づくと再び見事に咲き乱れた。まさに白銀の花のようだ。
そして、朝日連峰の南端にあり、初めての祝瓶山山頂に立った。
風は穏やかに流れ、2泊3日の計画から、天候の急変による2日間の停滞があり、4泊5日となったが、初冬の難しい季節の縦走を無事に終えられる充実感を感じていた。
ホッとしたいところだが、下山を開始しすると、頭の中はすでに次に控える飯豊連峰の事ばかりがめぐった。
これからはさらに季節が進み、日本海側は今日のような穏やかな日和は数える程度となるだろう。
じっくりとそして、こだわりすぎずに、臨機応変に自然の声を聴いていきたい。
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