日記

尾瀬最終日
2019.09.30

弥四郎小屋(やしろうごや)より尾瀬ヶ原へと延びる木道を、夜明け前からそれぞれの目的地へと歩き出していく。朝食をすませ、少しずつ晴れていく朝霧を眺めながら、コーヒーを一杯。
歩き始めるときには、すっかり尾瀬ヶ原は晴れ、清々しい気持ちで、一歩を踏み出すことができた。

下田代から中田代の竜宮小屋へ、竜宮現象を見てから、219座目景鶴山(けいづるやま)へと向かった。
景鶴山への登山道はなく、尾瀬国立公園内にあり、特別保護地区、特別天然記念物の一部にもなっているため、立ち入りが禁止されている。残雪期に登る人もいると聞くが、禁止となる季節や期間があるわけではなく、いかなる場合でも立ち入るべきではないと考えるのがよい。したがって、今回は一番近くまで近付けるヨッピ吊り橋までで、景鶴山へ登ったとすることにした。これは、この旅を計画したときから決めていたことで、直前で計画を変更したわけではない。

シダ植物の焼けるような紅葉に見とれながら、少しずつ近づく景鶴山を見上げ、木道を進んだ。景鶴山の山頂部は、火山に見られる柱状節理(ちゅうじょうせつり)になっているように見えた。
そして、ヨッピ吊り橋に到着、きっと山頂から尾瀬ヶ原を見下ろせば、尾瀬ヶ原の広がりや大きさを一番よく感じられるのだろうと想像を膨らませながら、景鶴山を背に写真を撮った。まぁ景鶴山の標高は2004メートル、尾瀬ヶ原の標高が1400メートルだから、六合目まで登れたと考えてもいいだろう。

尾瀬全体が特別天然記念物であり、本来は触れることも立ち入ることも許されないはずだが、特別に管理されている木道やエリア内であれば、尾瀬の多彩な景色や感動の景色に出会うことができる。それだけで、優遇されていることなのだと感じずにはいられない。

スッキリした気持ちで、至仏山(しぶつさん)の登山口となる山ノ鼻(やまのはな)へと林道を進んだ。鳩待峠(はとまちとうげ)から秋晴れの尾瀬ヶ原へと下りてきた多数のハイカーとすれ違う。
それから、山ノ鼻小屋でおすすめと言われたカツ丼を昼食に食べ、勢いよく至仏山へと登り始めた。

山ノ鼻からの至仏山へのルートは植生保護のため、登りのみの一方通行となっている。灌木の紅葉が太陽を浴びて輝いている中を、真っ直ぐ登っていく。森林限界を抜けると、眼下には広大な尾瀬ヶ原が広がっていた。急な斜面を真っ直ぐ登る登山道で足を止める度に振り返り、眼下の景色に癒されては、また上へと笑顔で登った。

滑りやすい蛇紋岩(じゃもんがん)に注意しながら、緩やかな木段階を最後は登って、5年ぶりとなる至仏山に立った。
山頂からは懐かしいみなかみ町の山々が見えて、仲間の元へと近づいてきたことを実感した。

1週間前の天気予報では、尾瀬は曇か雨の中を歩くことになる予定だったが、結果的には満足のコンディションの中を登り、歩くことができて、笑顔の尾瀬散策となった。
鳩待峠へと下山し、片品村名物の花豆ソフトクリームを食べて、1日を閉めくくった。

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