あの急登の先に
2019.09.28
平ヶ岳(ひらがたけ)に登る朝は、昨日までのような秋晴れは続かず、高曇りの空となった。わずかに風を感じる程度で、雨が降り出しそうな雰囲気はなく、前線の動き次第だが、晴れ間もあるとの予報だった。
このまま穏やかな天気になることを願い、鷹ノ巣登山口から、台倉山(だいくらやま)へ登り始めた。
平ヶ岳というと、その山名ゆえ、最初から緩やかに登って行くことを想像するだろうが、山名の由来にもなっている平原は、二山越えた先にある。
最初の登りが平ヶ岳への道のりの難所の一つ、短い距離で約800メートルを一気に登る。さらに急な細い尾根のため、なかなかの険しさだ。助走路も短く、いきなりの急登に笑わずにはいられなかった。
ここを登る登山者が皆、口を揃えて言う「平ヶ岳へはどこに」と。
台倉山へと登りきると、そこから池ノ岳へと登るまでは、急登はなく平坦な道のりが続く。ここは、色づく灌木を楽しみながら、サクサクと歩けばあっという間だ。しかし、一般的にはここが往復となるため長く感じるようだ。
池ノ岳への標高400メートルの最後の急登を登りきれば、平ヶ岳はもう目の前となる。池ノ岳から先はまさに別世界。平ヶ岳への草紅葉、点在する灌木の紅葉、針葉樹や笹の緑、見事なコントラストだ。高曇りのため、紅葉は落ち着いた色に見え、尾瀬の山々や会津駒ヶ岳、日光の山々、そして、越後の山々も遠くまで見渡せた。
姫ノ池を通りすぎると、ペースを落とし、草紅葉の中を行く木道を歩き、まずは玉子石を見に行った。思っていたほどは丸くはない玉子石を見たあとは、緩やかに登り返して、5年振りに平ヶ岳山頂へと立った。
5年前は山頂からの眺めは低い雲に包まれて見えなかったが、今回はしっかりと見渡すことができた。昨日と比べたら、ベストコンディションとはいかないが、5年前と比べれば満足の登山となった。
昼を過ぎると、西からの風が強くなり、風に追い出されるように、平ヶ岳から下山を開始した。
平ヶ岳は鷹ノ巣から登ると、かなりの長時間となる上に、避難小屋がなく、体力がかなり必要なる。よって、百名山を全山登頂を目指す人にとって最後の一座となることが多いと、清四郎小屋のご主人から伺った。
登ってくる時、急登だった台倉山からの最後の急坂が追い討ちをかけるのだろう。さすがの僕も連日のタフな登山により、最後は膝が笑った。
明日は再び福島県へと戻る。
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