南アルプス南部縦走最終日
2019.08.06
南アルプス南部最終日は見事な朝焼けとなった。富士山もうっすらと赤くなった。
今年限りで山を下りるという光岳(てかりだけ)小屋のご主人たちに、お世話になったお礼を伝え、温かく見送られながらの出発。
光岳小屋の管理を続けて40年以上というご主人は、「今は昔のやり方では、山小屋を利用する登山者に受け入れられなくなってきている。今の若い人たちに引き継いでもらい、新しいやり方で山小屋を管理していかなくてはいけないと思う。」と少し寂しそうに、でも決心がついたように力強く語ってくださった。
光岳小屋に宿泊する場合は、原則15時までに到着、水やお湯のサービスはなく、自分達で水場まで下りて補給し、自分で持ってきたバーナーと鍋でお湯を沸かす。食事は50歳以上で3人グループまでと様々な条件がある。しかし、山小屋があるだけでどんなに助かるか、山小屋があることで、安心して南アルプスを縦走することができる。たとえ、山小屋でお金を払えば、温かな食事と寝ることが出来ても、山は何が起きるか分からないことが多い。必要最低限の装備を携帯することは、登山者としての義務であり、山に対する礼儀だとも思う。
今は寝食に関しての荷物を持たなくても、手軽に登山ができるような山が増えつつある。しかし、南アルプスは日本アルプスの中でも最後に足を踏み入れる場所かと思う。これまでの40年以上に渡り、数えきれないほどの様々な登山者を迎え、見送ってきたご主人と、山を下りられる前にゆっくり話ができたことはかけがえの無い時間となった。
三度目の光岳に登頂後に、山名の由来となった光石(てかりいし)に立ち寄ったあと、踏みあとが不明瞭なルートをたどり、南アルプス南部、最後の池口岳(いけぐちだけ)に10時過ぎに登頂した。前回は登らなかった南峰にも、空荷で北峰より往復した。大きなトラブルや天候が崩れることなく、順調に全てを登り終えることができて、出来すぎな位だった。こんなにもゆっくり南アルプスを噛み締めて歩いたことは初めてだったとも言える。
それだけに、下山し南アルプス南部を去ることに寂しさも感じていた。
池口岳からの下山は、全てを登り終えた達成感と疲れから、アップダウンを繰り返しながら長い下りに、最後はヘロヘロになったが、無事に下山し、一ヶ月半ぶりに飯田市南信濃和田へとたどり着いた。久しぶりの麓の暑さにビックリした。
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