日記

南アルプス南部縦走2日目
2019.08.04

2日目は満点の星空の下、荒川小屋を出発した。
七夕から1か月が経とうとしているが、天の川は健在だ。頭上を流れ星よりもゆったりと宇宙ステーションが通過していく様子も見ることができた。2日目もいい1日となりそうな予感だ。

ヘッドライトの灯りを頼りに、赤石岳方面に登る。振り返ると荒川岳方面に登る人の灯りもチラチラと見え隠れする。
東の空が明るくなり始め、足元もヘッドライトが必要無い程になった。
荒川小屋から1時間ほどで、小赤石岳の肩に到着。5年前に赤石岳から見た光景を思い出すような、美しい富士山のシルエットが目の前に姿を現した。感動の瞬間だ。
富士吉田口五合目灯りが見える。きっと富士山では、山頂からのご来光を見ようと、必死に登っていた人たちもすでに登頂し、日の出を今か今かと待つ人がたくさんいるであろう。

日の出まで間、小赤石岳の肩で感動の瞬間を撮影をしてから、小赤石岳を通過して、5時半過ぎに5年ぶりの赤石岳に到着した。
その後、赤石岳避難小屋へと立ち寄った。小屋のご主人と女将さんに挨拶をして、愛情たっぷりのコーヒーを頂きながら、女将さんからはハーモニカの演奏をプレゼントしていただけた。ご主人とも談笑し、1時間ほどだったが、和やかな一時となった。

ご主人、女将さん、居合わせた登山者のみなさんに見送られ、2日目2座目の聖岳(ひじりだけ)へと、赤石岳を下った。
百名山の時に緊張して登った、凍てついた雪渓の斜面を横目見やりながら、眼下には気持ちいい百間平(ひゃっけんだいら)が見える。百間平をルンルン気分で駆け抜け、百間洞山の家(ひゃっけんぼらやまのいえ)に立ち寄った。

8時を回ったばかりで、ランチにはちょっと早いが、ランチメニューにカツ丼とあり、時間は10時~とあったが、「その他相談」とある。山小屋でカツ丼とは珍しい、カツ丼好きとしたは食べないわけにはいかない。頼めるか受付を覗いた。今は時間にゆとりがあるとのことで、幸いにも作っていただけることになった。注文を受けてから豚カツを揚げるため、登山者も時間のゆとりが必要だろう。

ワクワクしながら30分ほど待った。そして、待望のカツ丼が出来上がった。ボリュームも良く、豚カツを一口食べて、外はサクサク、肉は塩麹に浸けてあるため、とても柔らかかった。山ではちょうどいい味付けで大満足だ。

ペロリと食べ終えて、後半の聖岳への激しいアップダウンに向けて、エネルギー補給をしっかりすることができた。
日本百高山の一つ、大沢岳に登り、中盛丸山(なかもりまるやま)へ。100~150メートルほどのアップダウンがその先も小兎岳(こうさぎだけ)、兎岳(うさぎだけ)と続いた。最後は400メートルの登り返しに、ヘロヘロになりながらも、なんとかカツ丼パワーで聖岳に登頂することができた。

聖岳山頂から、赤石岳避難小屋に向けて、手拭いで作った旗を振りながらアピールをした。実は赤石岳避難小屋には聖岳山頂を見る望遠鏡があるため、事前に登頂時間を伝えていた。こちらからは見えないが、きっと気づいてくれているはず。

初日よりは、長い時間天候が安定していたが、少し雲行きが怪しくなってきたため、聖平小屋(ひじりだいらごや)に向けて下山した。
14時過ぎに到着したところ、小屋は自分と同じように到着したばかりの登山者で賑わっていた。
受付後に冷たい沢水で汗を流し、2日目も無事に行程を終えた。日暮れまでゆったりと過ごし、就寝。たくさんの人から愛情を頂く1日だった。

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