中央アルプス縦走再開2日目、長い一日
2019.06.18
縦走再開2日目、昨日以上に素晴らしい朝を迎えた。昨日は霧に包まれた空木岳山頂、今朝はどこを見てもいい眺めだ。満足するまであっちこっちと写真を撮り、遠くから見ると空木岳と瓜二つにもみえる南駒ヶ岳へ向かった。
南駒ヶ岳には1時間ほどで到着、今日はそれから、越百山(こすもやま)、安平路山(あんぺいじやま)と1日3座を登る。安平路山へ近づくほどに登山道は細く、不明瞭となり、南越百山から先は、ほぼ登山道はなくなり、笹藪が続く。
4年前は縦走前半に笹藪だったが、今回は後半にあるため、疲労がたまってきた時に踏ん張れるか、体力面での多少の不安はあった。しかし、一度歩いたことがあるため、どういう感じの笹藪を行くかがイメージできることで、精神的な落ち着きはあった。
南駒ヶ岳から仙人が住んでいるような雰囲気の仙涯嶺(せんがいれい)を抜け、ハイマツにびっしりと包まれた女性的な姿をした越百山までは順調に進んだ。越百山が雲に包まれていたため、1時間ほど早めの補給をしながら、晴れるのを待ったが、結局晴れず、安平路山までのコースタイムが長いため、あきらめて南越百山へと向かった。
南越百山を無事に通過し、笹藪への入り口に来ると、4年前とは明らかに違っていた。なんと!笹藪が刈り払いされている。もしかして、安平路山まで!?とにわかに期待をしてしまったが、ここであることを思い出した。4年前、念丈岳から経由する奥念丈岳、そして南越百山へと草刈りが進められていることを思い出したのだ。
あれから、4年が経過して、前回は草刈り前だったため、奥念丈岳からも笹藪が続いたが、今回はすでに草刈りが終わっていたことで、予定よりも早く奥念丈岳に到着することができた。その先は…ちょっと先まで刈り払いされていたため、ほんのり期待をしてしまったが、それは10メートルで消えた。そして、安平路山までの笹藪との格闘が始まった。
この時期はまだ笹は成長しきっていないため、4年前に縦走した9月に比べれば、背丈は低かったが、密度は変わらなかった。また、心配していた霧もかかることなく、常に目指す安平路山を見ることができたため、精神的なストレスはなかった。
順調に安平路山と奥念丈岳の中間地点となる松川乗越まで進み、浦川山への最大の登り返しを目の前にした。標高差は約200メートル。急斜面のために、笹が頭上を覆い、自分の方向に倒れているために、掻き分けてもなかなか、体を上へ上へと引き上げていくことができない。永遠に続くわけではない、我慢我慢と言い聞かせて、じわじわと標高を上げていくが、とうとう我慢の限界を迎えてしまい、「あーくっそー!うわぁー!!」と声を荒げて、半分ムキになって笹藪と喧嘩をしてしまった。本来、藪こぎは藪と喧嘩をせずに、時間がかかっても、なるべく冷静に対処するほうがよく、力任せに進んでも、それほど早く進めるわけでもなく、ただ、余計に体力を消耗したり、藪がどんどんと絡まったりしてしまう。
久しぶりに笹藪に包まれて、蒸し暑さと息苦しさに耐えきれなかった。最後はなんとか心を静めて、安平路山までの最後の登りまで、たどり着くことができ、見上げた安平路山を見て、前回よりも嬉しい気持ちが込み上げた。
そして、なんとか予定の時間にこの日最後の山頂に到着。最後はヘロヘロとなり、喜びを出すほどの力は残っていなかった。
翌日、飯田市に向けて歩いているときに、安平路山辺りの草刈りをしている地元の方とお会いした。
安平路山から奥念丈岳まではあえて草刈りをしていないとのことを初めて知った。歩きやすいアルプスもいいが、手付かずのそのままの中を行くのも、いいのかもしれない。
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