早川尾根のアサヨ峰
2019.06.07
南アルプス最北部の山々は、これまでの旅でことごとく雨天の中の登山となっていた。南アルプスの縦走路の中でも、見たことも、足を踏み入れたこともなく、ただ地図からイメージすることしかできなかったのが、甲斐駒ヶ岳から南に伸びる早川尾根だ。そして、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山の間にあるのが、今日これから登るアサヨ峰(みね)だ。
存在は知っており、百名山の時に鳳凰三山から甲斐駒ヶ岳へと縦走する予定だったが、当時は崩落のために通行禁止となり断念していた。今回5年越しに、足を踏み入れる。
前日の天気予報では、曇りのち雨とあったため、早朝の空模様で登るか判断することにしていた。曇天ではあったが、風はまだ穏やかで、北沢峠からはコースタイムで3時間ほどと短いため、半日天気が持てば、行けると判断して、5時半に出発した。
昨日までの暑さはなく、登りやすい気温だった。1時間半ほどで栗沢山に到着、辺りを見渡すと、囲むように甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、鳳凰三山が見えていた。そして、すぐ目の前には、目的のアサヨ峰が見える。
アサヨ峰が近づくと、富士山が鳳凰三山の右側に姿を表し、「富士山だ~」と喜びながら、左に目を向けると、すごいタイミングで夏毛に生え変わった雷鳥がいた。昨日は晴天だったため雷鳥に会うことはなかったが、今日は雷鳥が姿を出しやすい曇天だったことが幸いした。
アサヨ峰の山頂に8時過ぎに登頂。始めてみる早川尾根からの鳳凰三山や霞がかった富士山、四方を囲むように仙丈ヶ岳、北岳、甲斐駒ヶ岳と見渡すことができた。
名峰をバランスよく見渡せるアサヨ峰は格好の写真ポイントかもしれない。
鳳凰三山に沸き上がる雲を撮影していると、西からどんどん低く重たい雲が仙丈ヶ岳を越えて、迫ってきた。冷たく強い風が吹き付けた瞬間、雨が降り出し、南アルプスもどうやら梅雨入りした様子。梅雨入り直前から直後を山頂で迎える貴重な体験をしたあとは、仙水峠を経由して、北沢峠のこもれび山荘へと急いで下山した。
北沢峠は朝よりも気温が2度も下がっていた、山荘のストーブがありがたかった。窓から降りしきる雨を眺めながら、あとは静かな北沢峠にて、梅雨の中休みとなる日を待つだけだ。
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