日記

冬山の雰囲気
2019.05.07

夜明け頃から外は雪がちらつきはじめた。昨晩の雷雨から、寒気が流れ込み、真冬のような寒さとなっていた。朝の気温は-3度。ゴールデンウィークが終わり、志賀高原のスキー場も静まり返っていた。
お世話になった方々に見送られながら、熊の湯スキー場を目指した。雲は低く、風は冷たい。粉雪がチラチラと舞う中、天候の回復が遅くなっている事を感じていた。

9時半過ぎにスキー場に到着。ここと横手山のスキー場はもう1週間営業しているそうだ。
入山手続きをして、クローズしているゲレンデをアイゼンを着けて登った。午前中に153座目の笠ヶ岳、午後に154座目の横手山へと登る。
登り始めると、低い雲は徐々に高くなり、風と共に流れ、切れ間からは青空も覗かせた。
高い山も例外なく春が進むこの時期に、まさかの霧氷は、寒さと引き換えに1日限りのご褒美となりそうだ。くすんだ雪が目立つ春に純白の雪の上を歩けることも、自分にとっては気分が上がるきっかけにもなった。

どっしりとした山が多い志賀高原で、一際目立つ姿が笠ヶ岳。見るからに火山であったことがよくわかる。ダケカンバの霧氷が太陽を浴びてはキラキラと輝く。中腹をぐるりと東へ回り込み、峠より最後の登りへと入った。

山頂に着くと見計らったかのように、雲が晴れて一気に展望が広がった。午後に登る横手山は笠ヶ岳以上に真っ白くなっていた。山を包む針葉樹の中を歩いていくのが、すでに楽しみになった。

今年最後になるかもしれない霧氷を、1日中楽しめるとは。笠ヶ岳からの下山は雪の状態が良かったため、北斜面を真っ直ぐ下りた。下山はあっという間、1時間ほどでスキー場に到着。休む間もなく、横手山へと登り始めた。
シラビソやツガ、モミ、ダケカンバの高木の森を縫うように登る。日差しが当たり始めた所は雪が溶けはじめているが、日陰はいい雰囲気のままだ。ゴールデンウィークが終わったことで、静かな横手山だった。横手山は大学生時代にスキーの合宿で登ったことがある。しかし、雪がある時期は初めて、全く違う景色は新鮮そのものだ。

午後3時過ぎ、日本一高い場所にあるパン屋さんでもある頂上ヒュッテへ到着すると、看板犬が迎えてくれた。父がパン職人のため、小さな頃からパンをよく食べたこともあり、ここのパンにも興味があった。
閉店間際だったため、この日はおすすめのピザパンで、小腹を満たし、翌朝に焼き上がるパンを楽しみにして、渋峠へと下山することにした。
西陽が眩しく、北アルプスも再び冬山へと戻っていた。1日2座は久しぶりだったが、とても満たされる1日となっていた。

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