日記

それぞれの愛鷹山
2019.02.27

4年前に初めて愛鷹山(あしたかやま)へ登ったときに、どこへ登るか悩んだ。なぜなら、愛鷹山は愛鷹山地の総称なのだが、山地の南端には標高1188メートルの愛鷹山がある。字も読み方も同じなのだが、調べると愛鷹山を登る場合は最高峰の越前岳を目指す人がほとんどだと知った。特に2百名山の時は先へ急ぐ焦りも多少あり、最高峰だけを登り、毛無山へと向かったことで、今でも少し名残惜しさを感じでいる。その思いから今回は、必ず愛鷹山地を縦走しようと、考えていた。

愛鷹山を東西から見ると、駿河湾(するがわん)より緩やかに富士山へといくつもの峰が延びているのが目に止まる。
しかし、麓の沼津市から見上げると、富士山と一体になっているように見え、奥へと延びる愛鷹山の姿はない。むしろ、一番低い1188メートルの愛鷹山の存在が大きくも感じる。
これまでにも、各地の山を登ってきて、よく知られる山名とは別に、里によって見え方が違ったり、言い伝えられてきた歴史により、親しまれてきた名前が数多くの山であることを知った。また、時代により名前がコロコロと変わる山もある。そもそも、山は人間が一方的に名前をつけているだけ、当たり前だが山そのものが言い出したわけではない。

愛鷹山へは柳沢コースを登っていく。富士山は昨日に続き、朝から見えない。1日がかりで愛鷹山を縦走するので、見ることが出来るタイミングはあると信じて登った。
愛鷹山に登っている途中で、沼津市の方にお会いした。愛鷹山地の愛鷹山について聞いてみた。すると、沼津の人たちにとっての愛鷹山は越前岳ではなく愛鷹山だと教えてくれた。昔から山を神としてお祀りし、今でも毎年登拝されたり、祭りが行われたりするという。また、麓から見ると越前岳は見えず愛鷹山地の中で愛鷹山がよく見えることもあるだろうと教えてくれた。
これまでにも、総称された名前の山を登ってきたが、単純に最高峰がその山を指し示すわけではなく、時には、その地に住む人たちにとっての山が、その山をいうこともあるということだ。その話を伺い、やっぱりここから登ってよかったと強く思った。

愛鷹山山頂の愛鷹明神の奥社で挨拶をして、雲の隙間からうっすらと見える富士山に一喜一憂しながら、袴腰岳(はかまごしだけ)、位牌岳(いはいだけ)へと縦走した。位牌岳から鋸岳(のこぎりだけ)へは崩落より、通行禁止になっているため、前岳経由で一度大沢まで下山し、再び呼子岳(よびこだけ)へと登り返す、変則的なルートで、越前岳へと縦走を続けた。

富士山は結局、最初の愛鷹山で見えたきり、下山まで見ることができなかったが、富士山が見えないことで、しっかりと愛鷹山と向き合えた気がしていた。
越前岳だけを登った4年前よりも達成感と充実感は大きかったのは間違えない。さぁ~次は北陸だ♪

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