金時山の猫たち
2019.02.20
一晩降り続いた雨は翌朝には止んでいた。久しぶりに感じる湿気の多いそよ風を受けながら、沸き上がる雲に隠れる金時山を目指し歩く。
御殿場(ごてんば)市内から乙女峠へと登り、箱根外輪山の峰を辿ると、金時山(きんときやま)はすでに雲から顔を出していた。
実は金時山に登るのは、約6年ぶり。当時は週末だったこともありすごい人で賑わっていた記憶がある。
箱根外輪山の中で一番高く、そして、ひときわ特徴的な形をした金時山は、昔は猪鼻嶽(または猪鼻山)(いのはなだけ・いのはなやま)と呼ばれていたみたいだ。その由来は諸説あるそうだが、この地で育った金太郎が岩を落としてしまった際に、岩に当り死んでしまった猪を哀れんだ金太郎が、その猪の鼻を切って、弔ったという話から来ているという。
いつから、金時山と呼ばれるようになったのは分からないそうだが、由来はやはり金太郎から来ている説が有力だそうだ。金時は源頼光に仕え、名を坂田公時(さかたのきんとき)と改めたことから来ているのだろう。
久しぶりの山頂は、4月中旬並の気温で暖かく、昼時でも2組しかいなかった。冬の平日は静かなようだ。また、山頂には5匹の猫がいて、久しぶりの暖かな日差しに、仲良く並んで気持ち良さそうに寝ていた。その姿に、こちらも富士山が見えるのを期待して、山頂で待つことにした。
しかし、2時間待っても、箱根山、伊豆半島や駿河湾(するがわん)、愛鷹山(あしたかやま)はきれいに見えるが、なかなか富士山は顔を出してくれなかった。
2時間半山頂で猫たちと一緒に待ったが、結局今日の富士山は寝込んだままとなった。それでも、またチャンスはあると気持ちを切り替え下山した。
また、冬とは思えないほどの暖かな陽気に、山頂で久しぶりにのんびりできたのは本当にいい時間となった。
宿で、翌日の天気予報を見ると、翌朝に登って富士山は見られるか!?
金時山に登ると長い1日になるが、わずかな望みを抱いて、夜明け前から出発することを決めた。
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