日記

訃報
2019.02.11

別れはいつも突然だ。
9日、中央アルプスの宝剣岳より、友人が滑落した。旅中に訪れる訃報は3度目、皆、この挑戦を心底応援してくれていた人たちばかり、いつも気にかけてくれていた。無事ゴールしたときは、また一緒に遊びましょう、酒を飲みながら語らいましょうと約束もしていた。

3連休を今年一番の寒波が列島を襲ったとき、中央アルプスはアイゼンやピッケルが刺さらないほど、雪は凍りついていたと聞いた。
半年前、関西の友人宅で久しぶりに再会し、友人は秋に世界で最も登頂が難しいといわれる「K2」に登山隊の隊長として、3度目の挑戦をする前だった。
お互いの近況や挑戦の健闘を称えあった。
それから、数ヶ月後見事に登山隊はK2登頂を達成したことをSNSで知り、「おめでとうございます!」とメッセージを送った。

友人と初めて会ったのは2007年だったと思う。大学卒業後に飛び込んだアドベンチャーレースの世界。そして、とあるマウンテンバイクレースに参加した時に出会った。
言葉数は少なく、いつも落ち着いた雰囲気を醸し出しているが、好きなことはいつも優しく嬉しそうに、時には熱く語る姿が印象的だった。
百名山の時には、お盆に福島県会津を歩いていると、里帰りしていた友人が応援に駆けつけてくれた。
その他にも、国内のアドベンチャーレースや関西に遊びにいった時には、共通の友人夫婦宅で、食事を囲んだりもした。

8000級の山に挑戦する人が、何で日本の山で…と思うかもしれない。4年前にも同じことがあった。
自然の中では時として、人間が積み上げてきた技術や経験が通用しないことがある。山や海、川といったあらゆる自然は、単純な数字だけでは計り知れない世界であり、人間の想像をはるかに超えている存在だということを常に感じながら、畏れ敬い続けなくてはならないのだろう。

信じがたい友人の死を通じて学ぶことほど、悲しすぎることはない。
遠いところへと旅立ってしまった友人のご冥福を、心から祈る。

 この日記に書かれている場所はこの辺りです