山頂は基地の中
2019.01.22
どんな長い距離を歩こうとも、どんなに時間がかかろうとも、不思議なもので、過ぎてしまえば、あっという間に感じてしまう。
自宅を出発してから3週間、600キロ以上を歩き、福島県の大滝根(おおたきね)山麓まできた。ここが、この旅最初の折り返しとなる。
大滝根山(おおたきねやま)を登ったあとは、きびすを返し、東海道を経由して、再び北陸へと戻る。
夜明け、外を見ると一面の銀世界になっていた。雪の姿など全くなかった町が一晩でガラリと変わったのだ。待ちに待った雪だ。雪国育ちにとっては、冬は雪がなくては始まらない!
今日登る大滝根山はもっと厚い雪に覆われていることが予想され、出発前から心が踊った。
そして、出発。久しぶりの雪を踏みしめる音が心地よかった。
山麓から、雪の積もった車道を歩き、一段高い仙台平(せんだいひら)へと登った。仙台平には、鬼穴という場所があり、あぶくま洞につながっているという。
そこに立ち寄ると、鍾乳洞からの温かな風が流れてきて、入り口の雪は溶けていた。中に入ると、直ぐに柵があり、それ以上先には進めなかった。
登山道に戻り、大滝根山へと登り始めると、風で木々が揺れて、まとっていた雪が雪煙となり、差し込んだ太陽の光にキラキラと反射して、幻想的な姿を見せてくれた。冬ならではの美しさだ。まだ、溶けきらない雪の結晶や霧氷など、久しぶりの銀世界を楽しんだ。
山頂までは1時間ほどで到着した。
実は、ここ大滝根山の山頂には、航空自衛隊のレーダー基地があり、一番高いところに立つためには、基地内に入る必要がある。自衛隊の基地のため、入ることはできないと思ってしまうだろうが、実は事前に申請をすれば、入門許可をいただくことができて、自衛隊員の立ち会いのもと、立つことができるのだ!
山頂に電波塔やレーダー基地がある山はいくつもあるが、3百名山の中では初めての経験だ。九州の脊振山(せふりさん)にも、レーダー基地はあったが、山頂は中ではなかった。
さすがに山頂は風が強く、深い吹きだまりもできていた。フェンスをぐるりと回り、入り口に着くと、自衛隊の方々が、すでに到着されていた。
なんと、隊員の方の中にも、番組を見ているかたがいて、是非立ち会いたいいうことで、多数の方がいた。開門し中へと入る。自衛隊の基地の中に入るのも、基地内の山頂に立つのも、初めての経験で、緊張と嬉しさが入り交じっていた。
そして、山頂となる三角点に立った。
あまりの風の強さに、長居できるわけもなく、記念写真だけ撮り、お礼を伝えて、基地を後にした。
冬は寒く、厳しい季節だが、この季節にしか味わえない美しさがあることを、改めて感じる1日となった。さぁ~北陸へ帰るぞ♪
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