躍動感溢れる焼岳
2018.10.19
4年前、北アルプス最初の山となった焼岳。活火山の焼岳も山頂付近は濃霧となり、火山の雰囲気は噴気の音とにおいから感じるのみとなった。
本来ならば、北アルプスの他の山とは明らかに違う気配漂う息づく山を感じられるはずだった。
そのリベンジともなる出発前の朝は低い雲が上空を覆っていた。
しかし、新穂高温泉から登り始めると、気圧は標高と共に高くなり、雲の切れ間から温かな太陽の光りが差し込んでくれた。
2週間ぶりに、縦走ではなく、登山口から登る感じは、やはり一座に向かって登っていく感じが強い。麓からの植生の変化や紅葉の変化、気温の変化などたくさんの変化を味わいながら、登っていく。焼岳への気持ちが高まると雲は晴れて、青空が広がってくれた。
途中には、噴火によって発生した火砕流が、トウヒの木を包み込むように固まっている秀綱神社(ひでつなじんじゃ)は圧巻だった。
そこから、間もなくして、焼岳が目の前にそびえる稜線へと出た。
登山道わきには、いくつもの噴気孔あり、地を這うように、風に靡いていた。一見すると雲のようにも見える。しかし、近づくと違うことに気づく。
さらに、噴気孔の周辺には苔がびっしりと自生し、触ると床暖房のように暖かい。そんな場所がいくつもある。そして、初めて間近に見る焼岳は、呼吸を繰り返す生き物のように見えた。
躍動感は北アルプスのどの山よりも強く、圧倒される。その成長を続ける焼岳山頂に向かった。
山頂からみる初めての眺めは、最高だった。北アルプス南部の玄関口上高地、穂高連峰の明峰たちが一望できた。
素晴らしいコンディションに、続々と登ってくる人たちの心を一瞬で鷲掴みという具合だ。僕もこの日はその一人となった。北アルプス南部の初日として、いいスタートを切った。
西穂高岳から奥穂高岳への憧れの縦走路ははっきりと見える。しかし、今回は2日前に3000メートル付近に降雪があったため、縦走はあきらめて、上高地に下山することに決めていた。登りたいと登れるは全然意味が違うと考えているが、今回は登りたいが登れないとなったために、登りたい気持ちをぐっと抑えた。
さらに、一度でも西穂高岳から奥穂高岳までの難ルートを歩いていればいいのだが、今回が初めて。初めてが不安定なコンディションではリスクが高く、自分が背負える無理ではないと判断した。
今日の焼岳に充分満足し、観光客で賑わう上高地に下りた。
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