九割ハード
2018.10.10
後立山連峰から裏銀座への営業小屋が10月8日で軒並み小屋閉めとなったために、蓮華岳から稜線をたどって、烏帽子岳へ向かうことができなくなった。なぜなら稜線は水場がなく、小屋が閉まっているために水を購入できないからだ。
水を確保するために、針ノ木小屋から700メートル針ノ木谷まで、下がらなくてならない。
午後から風雨が強くなるために、いつもよりも早く出発する予定だったが、寝坊をしてしまった。結局いつもと同じ時間の出発となって、今日の目的地の烏帽子小屋につく頃には雨に打たれることを覚悟した。
今回で3回目となる針ノ木谷へと駆け降りた。
本谷出合手前は沢下りとなり、何度か渡渉するために注意深く進まなくては行けない。
出合手前で水を3リットル補給し、懐かしい針ノ木谷を船窪乗越への登り口まで、下流へと歩いた。背負う荷物の重さと稜線への登り返しの急登に、かなりの体力を使った。
乗越に到着してビックリ。稜線から不動沢側がスッパリと崩れ落ち、崩落した土砂は高瀬ダムへと流れ出ている。3年前に渡った吊り橋が辛うじて見えた。
さらに船窪岳、第二ピーク、不動岳への縦走路は一つのミスも許されない状況が続いた。一歩踏み外せば不動沢までまっ逆さまだ。
地図には「危」の書き込みは一つもないが、携帯電話の電波が無いことやエスケープルートが無いことを鑑みれば、七倉山から不動岳までのルートは熟練者や健脚者向きといえるだろう。加えて、一つ一つのアップダウンもかなりの傾斜だ。
また、昨日までの日差しはなく、寒さも影響して、体力の消耗は激しくなった。休憩を適度にはさみながら進み、ホッとできる南沢岳まで、なんとかたどり着いた。そこからは、ここまでの頑張りを、称えてくれるような、四十八池(しじゅうはちいけ)の美しい眺めが広がった。
花こう岩の特徴的な形をした烏帽子岳は今回も、強風となり、一番高い岩の上には立つことができなかった。しかし、初めて歩いた稜線はスリリングではあったが、新鮮さがあり、雨が降られても、しっかりと山を味わうことができた。
小屋閉めが終わった烏帽子小屋に到着して、今日一番の驚きがあった。
それは、烏帽子小屋に冬期小屋があったことだ。
雨の中でのテント泊を覚悟していただけに、雨風しのげ、寒さからも解放された喜びは、烏帽子岳に登頂したことよりも大きかった。すでに下山されている小屋の方々への感謝を深く深くして、一晩お世話になった。縦走7日目にして最大のハードワークとなった。
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