立山信仰
2018.09.21
今にも雲が泡のように落ちてきそうな空の下、北アルプス北部の玄関口となる立山町を目指した。
立山カルデラから流れ始める常願寺川(じょうがんじがわ)に出ると、川岸に越中一之宮の雄山神社(おやまじんじゃ)があった。開山から1300年以上がたった今も続く立山信仰の拠点だ。
岩峅寺(いわくらじ)の雄山神社にある前立社壇(まえだてしゃだん)は立山雄山の山頂にある峰本社を目指す人たちが必ず訪れて、身の穢れを祓ったり、登拝の無事を祈祷してもらったりする場所だったそうだ。拝殿にて挨拶とお礼を伝えて、次は中宮祈願殿のある芦峅寺(あしくらじ)に向かった。
途中激しく雨に打たれることもあったが、予報よりは雨の時間は少なかった。
前立社壇でいただいた冊子には立山信仰を描いた曼陀羅が載っていて、今もしっかりと残る山や川、地名があった。印象的だったのは、剱岳は針山のようになっていて、鬼がすむ場所として描かれていた。反対には浄土山があり雲に乗ったお釈迦様が描かれ、地獄から天国までが見事に描かれている。
昔から立山に登拝できるかは一生に一度とあるかないかとあった。
芦峅寺の雄山神社中宮祈願殿は岩峅寺の前立社壇の境内よりも広く、厳かな雰囲気にとても癒された。
境内には立山を開山した佐伯有頼(さえきありより)の御陵もあった。ここでもしっかりと挨拶とお礼をした。歩く自動車道沿いにも、西国三十三所の石仏が点在し、少しずつ立山が近づいていることを感じずにいられなかった。
今はこうして下から自分の足だけで、立山を目指す人はほとんどいない中で、「一生に一度」の思いで、登られたいにしえの人々の心を少しだけ感じることができた1日となった。