3年前、初めて蒜山（ひるぜん）に登った時は、土砂降りの雨だった。
実は、グレートトラバース2の時は東海地方の御在所岳から笹ヶ峰まで、登った山全てが雨または雪で、ほとんど景色を見ることもなく、終わってしまっていた。
むしろそのことが今回の旅を始める原動力にもなっている。だからこそ、不安定な梅雨時期ではあったが、うまく晴れ間を狙っていきたい気持ちが強く働いていた。

天気予報が少し早まったのか、曇天となってしまっていた。だが、明日からは再び梅雨空に戻るため今日登ることを決断した。
前回登った時よりは、コンディションはかなりいい。

蒜山での飼育数が日本一多いと言われる、好奇心旺盛なジャージー牛とご対面し、まずは最高峰の上蒜山へと登った。
今回は、上中下と蒜山三山を縦走する。
前回とはコンディションも違うが、季節も大きく違い、早速色とりどりの高山植物たちが歓迎してくれた。その種類の多さにも驚いた。注意しながら登山道沿いの花に注目していくと10種類以上には出会うことが出来た。
山が僕の誕生日を祝ってくれているようだ。

前回は全く見ることが出来なかった縦走路の景色にも感動した。また、中蒜山から見下ろす蒜山高原の景色は、宿の女将さんが教えてくれたように、パッチワークのような雰囲気だった。

蒜山高原は蒜山の一部であり、共に生き、蒜山の自然はそこに住む人たちによっても作り出されているという意味が分かった気がした。
中蒜山から下蒜山へ、下山口に着くころには雨が降り始め、高原から見上げる蒜山は雨脚が強くなるとともに分厚い雲に隠れていった。
蒜山は縦走して初めて、蒜山を登ったことになる山だろう。