伊予富士
2018.04.28
縦走3日目は一番の登山日和となった。
今日からゴールデンウィークが始まるため、登りやすい伊予富士や瓶ヶ森(かめがもり)はたくさんの登山者で賑わうことが予想された。
昨晩の放射冷却でできた霜柱を踏みしめながら、笹ヶ峰へ登り返すと、朝日を受ける笹と灌木で覆われた稜線が伊予富士へと続いていた。伊予富士の手前にある寒風山(かんぷうざん)を目指していると、同じように日本三百名山の踏破を目指しているという女性と会った。ゴールデンウィーク中に四国の山をまとめて登るという。
今日1日で笹ヶ峰、伊予富士と瓶ヶ森の三座を踏破予定で、数はすでに佳境となる276座とのことだ。その他にも、1日で複数の山を縦走する人は少なくなかった。
なぜなら、伊予富士と瓶ヶ森の山頂直下には、通称UFOラインと言われる車道があり、車でかなり標高を稼ぐことができて、小さい子でも、比較的短時間で登ってくることができる。
伊予富士への快適な縦走路を気持ち良く歩き進めると、それまで富士山のように見えるのか分からなかった姿が、はっきりと見えるようになってきた。
伊予富士を含む大きな山塊はほとんどが灌木におおわれているが、伊予富士だけは笹に覆われ、灌木とのコントラストで、笹が富士山のような輪郭となっていた。縦走をしてこなければ気付くことはできなかっただろう。
さらに、山頂への最後の登りはまさに富士山さながらの急登となった。
山頂に立つと、UFOラインから続々と伊予富士へと登ってくる登山者の姿が見えた。標高は高いがジリジリと肌を焼く暑さを感じながら、瓶ヶ森へと向かった。この日は、昨日よりはアップダウンは少ないが、一座一座が大きく、石鎚山系らしい、北側が切り立つ岩壁も所々に見ることができた。
瓶ヶ森の手前の西黒森にアップアップになりながら、何とか越えて、最後の登りへと休まず進んだ。一度腰を落としたらしばらくは休みたくなる気持ちを抑え、山頂からの景色を味わいながらランチにしようと決めて我慢した。
我慢した甲斐があり、山頂からは瀬戸内海やしまなみ海道、遠くは中国地方、眼下には石鎚山系からの恵みと共に暮らす町が一望できた。この場所からしか見られない景色を堪能しながら今日1日の縦走を振り返った。
明日登る石鎚山の登山口となる西之川への下山途中で、瓶ヶ森の由来となった瓶壺で喉を潤し、満ち足りた思いで1日は暮れた。
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