しまなみ海道3日目
2018.04.21
しまなみ海道を抜ける前に、島にある展望のいい山に登りたいと考えていた。なぜなら、高いところから瀬戸内海の島並や複雑に流れる海を見たいと思っていたからだ。しかし、1日の始まりは寝坊から始まった。
昨晩は多々羅キャンプ場でテント泊をしたが、夜は想像以上に冷え込んだため、寒さでなかなか安眠できなかったようで…日が上ってからテントの中が暖かくなり、それで、あまりに気持ちよくて深く眠ってしまった。
目が覚めて、頭がボーとした状態でテントを片付け、出発の準備を整えた。
大三島から5つ目の島、伯方島に向かう頃には日は高く昇り、前日よりも暑くなる感じがあった。
しまなみ海道の難所「鼻栗瀬戸(はなぐりせと)」に架かる大三島橋を渡る。しまなみ海道の7つの橋の中で一番最初に架けられたものだ。しまなみ海道一の難所に橋が架かったことで、大三島と伯方島の人々の生活は大きく変わったことだろう。
伯方島に上陸して真っ先に向かったのは、鉾山(宝股山・ほこさん)別名・伯方富士の山頂へ。しまなみ海道の島々の山の中でも、随一の展望があるという。暑さと戦いながら山頂につくと、霞は深まっていたが、自分が立つ伯方島を中心に大小の島々が眼下に見えて、複雑に流れる海が見てとれた。初めて見る景色に、感動した。これぞ瀬戸内海!という感じだ。
山頂でゆっくりしたかったが、暑さに耐えきれず、山頂の弥生時代に古代巨石信仰となった石神に手を合わせてから下りた。
ミニチュアのように見えた町で、ランチを済ませて、激しい流れが見れるはずの、船折瀬戸(ふなおりせと)は潮止まりでピタリと流れは止まっていた。
6つ目の伯方大島橋をわたり、最後の島「大島」をどう歩くかを悩んだ。最初は東側を歩く予定だったが、すでに日が西に傾き始めていたので、西側を歩くことにした。すると、静かな海岸線が続いていた。
週末でたくさんいたサイクリングをする人達の姿はぱたりといなくなり、島の本来の営みや時間の流れになっていた。
西日を額に浴びながら、歩いていると、道端に幟(のぼり)が高々と立っていた。よく見ると島四国八十八ヵ所霊場とあり、小道の入り口に遍路道と書かれた石碑があった。
小さなお堂が二番霊場とあった。しかし無人だったので先へ進むと、壱番霊場があった。そこにはバスや車でお遍路巡りをしている人達の姿があった。
詳しく聞いてみたく壱番霊場に立ち寄ると、穏やかなご夫妻がすごく丁寧に島四国八十八ヵ所霊場について解説をしてくださった。
島四国遍路は大島だけでなく、他の島にもあると教えてくれた。そして、一年で一回弘法大師さんの命日となる4月21日を初日として、3日間だけ霊場が開かれるという。とても貴重な日に訪れることができた。日本各地の霊山で弘法大師さんの姿を見てきたが、まさかここ大島でその存在に触れることになるとは、すごく縁を感じることになった。
ご夫妻も毎年この日のために京都から一週間前に来て、お遍路さんを迎える準備を始めているということも教えてもらった。
また、この期間だけお披露目されるご本尊にもご対面させていただいた。とてもいい出逢いとなった。
結局、最後の来島海峡大橋(くるしまかいきょうおおはし)は夕暮れの中走り続け、静けさに包まれた今治市内へと入った。
3回目のしまなみ海道は今までで一番濃密な時間となった。
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