4年ぶりのカルデラ内
2018.02.27
阿蘇くじゅう高原の広大な金色の草原を歩く。
この光景も久しぶり、もうじき年に一度の野焼きの季節が訪れて、4年前に見たような真っ黒い大地がどこまでも広がることになる。2月も今日を入れてあと2日、まだ少し霞んで見える阿蘇山を見ながら、阿蘇のカルデラをめざす。2日前に登れないはずだった阿蘇山が登れるかもしれないという信じられない情報が舞い込んだ。規制が解除される予定はなんと!明日だという。直前までどうなるかわからない状況に少しやきもきしていた。
城山展望台からの阿蘇五岳は見事で、特に根子岳の荒々しさは際立っていた。
さらに、外輪山からカルデラ内の阿蘇市の町並みを見ると、とても不思議な光景に見える。高原から突如として、切り立った崖が現れて、その下にはたくさんの田畑と街が広がっているのだ。
しかし、カルデラ内へと下り立ち、先程まで見下ろしていた田畑の中を歩くと、あら不思議、今歩いているところが大きなカルデラの中だとは思えないほど、のどかな営みが広がり、そこに住む人たちは、他の場所と何らかわりなく、車を走らせ、散歩をし、阿蘇山とともにカルデラの中で生活をしているのだ。
きっと上空から見れば、映画やアニメの世界のような、月のクレーターの中に住んでいるような光景に見えるのだろう。
そして、2年前の震災以来初めての阿蘇市を歩くと、その爪痕はニュースでみた阿蘇神社の倒壊をはじめ、そこかしこに見ることができた。しかし、町中のあちらこちらから湧き出る水は健在で、地震が来ても阿蘇の街に潤いを与え続けてくれているのも、また自然の力だと感じさせてくれた。再建中の阿蘇神社の復活は5年先と聞いたが、ゆっくりでも前に進んでいますとの言葉に胸を打たれた。
街角をフッと曲がると、目の前にいきなり見事な楼門が迎えてくれるあの光景を待ち望む。