初傾山
2018.02.17
九州の山で一番は?と九州の方に聞くと、多くは大崩山と返ってくる。しかし、そのあとに「傾山(かたむきやま)もいいなぁ♪」と続くことがある。
本州のように岩山や岩峰が少ないからなのか、それともアルプスへの憧れからなのだろうか。傾山も山頂部は鋭い岩峰となっていると聞く。昨日、大崩山から縦走をしているときに、傾山が見えたが、南側から見た姿は、緩やかな尾根を東西に広げて、少しだけ控えめに見えた。
谷間に日が差し込む前に宿を出発、昨日のどんより雲はすっきり晴れている。だが、上空の雲は結構な早さで、南東へと過ぎ去っていく。どうやら稜線は冷たい風が強いようだ。
9時過ぎに九折越(つづらごし)に到着し、傾山までは往復となるので、小屋に不要な荷物を置いて、傾山へと向かった。葉が落ちた木々の隙間から、見事な双耳峰が見える。思わず「あれを登るの!?登れるのか?」と声がこぼれてしまった。西側から見ると、本当にそう思ってしまうほどの、岩峰が空高く突き出ているのだ。
荒々しさや険しさ、厳しさを感じる一方で、かっこよさや美しさも感じる見事な山容。どんどん近づき、どんどん斜面は急になっていく。特に左の岩峰の北壁はこれまた見事な垂壁だ。きっと登る人もいるのだろう。
小屋から1時間半ほどで山頂に到着、山頂は西側から見ていた左の岩峰だった。眼下には、これから歩く祖母山までの大縦走路が見え、北には大分の山々が広がっていた。
ゆっくりしたいところだったが、九折越から尾平越までの積雪量によっては、かなりの時間が必要になるかも知れなかったため、少しだけ休憩をとってから、小屋へと戻った。
傾山から祖母山の縦走は、旅を計画したときから決めていた。もちろん、縦走の方がルートがスムーズだったのもあったが、九州に訪れる度に、地元の人から「次回はぜひ傾山から祖母山まで縦走路をおすすめしたい」との声が多かったからでもあった。
雪は予想よりは少なかったが、それでも歩きやすい状況ではなかった。本谷山までは木々を激しく揺らす風の音で騒がしく、冷たい風が体力を奪っていくのを感じながら歩いた。
クタクタになりながら、本谷山へ到着したときに、オリンピックの男子フィギアスケートで羽生選手が金メダルを獲得したニュースで元気が戻り、尾平越までは気持ちよく歩くことが出来た。傾山から祖母山の間には小屋が一軒しかないため、この日も、稜線から谷底まで下りて、廃校をリノベーションしたというゲストハウスに宿泊。2日目も結局12時間の行動となった。なんとか、予定通り3日間で九州最難関の縦走を終えられそうな、確信を抱きながら床についた。
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